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営業益90%減…「一人負け」の日産、問われる構造改革の実効性

日産自動車が業績悪化を受けて構造改革策を発表した。中国での新エネルギー車(NEV)台頭による販売減や、米国で拡大するハイブリッド車(HV)需要を取り込めていないことが背景としてある。ただ、外部要因だけでなく販売目標と実績の乖離(かいり)など日産固有の問題もある。日本の自動車業界で「一人負け」の様相を呈する中、構造改革の実効性が問われる。

単位億円、増減率%、下段通期見通し、▼は赤字・マイナス。配当がある場合の上段カッコ内は前の期の実績、下段通期見通し

「販売計画を達成できていないことが続いている。計画がストレッチし過ぎていた」。7日の会見で内田誠社長は自社の課題をこう指摘した。中国市場の環境悪化や競争激化など日本の自動車産業が苦戦する中、特に日産の苦戦が目立っている。

2024年4―9月期の世界販売台数は前年同期比1・6%減の159万6000台。中国が同5・4%減だったのに加え、日本が同2・4%減、北米も同1・0%減と他の主要地域も販売を落としている。「タイムリーに顧客のニーズを満たす商品を提供できていない」(内田社長)ことが背景にある。

これがインセンティブ(販売奨励金)の増加をもたらし、コスト増やインフレ影響が収益を圧迫。4―9月期連結決算で営業利益は同90・2%減の329億円に落ち込んだ。

足元の業績を受け、25年3月期連結業績予想も下方修正した。売上高を前回見通しから1兆3000億円減の12兆7000億円(前期比0・1%増)、営業利益を同3500億円減の1500億円(同73・6%減)とし、従来3000億円としていた当期利益の予想は取り下げて未定とした。世界販売台数の計画も同25万台引き下げ340万台(前期実績は344万2000台)にした。

日産は26年度末までに年間販売台数を23年度比100万台増やし、営業利益率を6%以上に引き上げる経営計画を24年度に始動したばかりだ。既に目標達成が難しい状況で、どう立て直せるのか。厳しい視線が同社に注がれている。

日刊工業新聞 2024年11月08日

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