燃費40%低減、世界初「ハイブリッド式自走クレーン」の性能
国内向け受注開始
加藤製作所は世界初のハイブリッド式ラフテレーンクレーンを開発した。燃料消費を従来機種と比べて最大40%低減できる。脱炭素社会の実現に向けて建設機械の電動化は喫緊の課題。カーボンニュートラル(温室効果ガス排出量実質ゼロ)の潮流を受けて建機のパワートレーン(駆動装置)が多様化する中、選択肢の一つとしてハイブリッド式を新たに提案する。8日から国内向けに受注活動を開始し、5年間で100台の販売を目指す。
加藤製作所が開発したのは、運転席とクレーン操縦席が一体の25トン吊りラフテレーンクレーン「SR―250HV+EK―UNIT」。2025年2月に発売する。価格は7380万円(消費税抜き)から。競争力のある価格帯に設定したという。
主動力はディーゼルエンジンで、補助用に電動モーターを搭載。バスなどで実績の多いハイブリッドシステムを採用した。走行時は従来のディーゼル式に比べて20―40%の燃料と二酸化炭素(CO2)の削減を実現する。アイドリングストップ機能も備える。電動化技術で環境負荷を抑えた。
重量は普通、電池を載せる分増えてしまうが、より強度の高い材料を使うなど、車両の軽量化を同時に進めることでディーゼル式とほぼ同程度を実現した。茨城工場(茨城県五霞町)で生産する。
また、外部電源油圧ユニット「EK―UNIT」が付属する。工場などの作業現場にある電源とクレーンをつなぎ、エンジンを止めて電気のみでクレーン作業が可能になる。太陽光や風力由来のグリーン電力を活用すれば、作業時のCO2排出量を最大で実質ゼロにできる見込み。
同社は主力の25トン吊りクレーンを皮切りに、ハイブリッドシステムの横展開も検討する。公道走行が多いが、ハイブリッド式によりパワートレーンを柔軟に切り替えて対応できる。公道走行への対応と環境負荷低減を両立させ、需要を取り込む。