「サランラップ」はなぜ国内トップシェアを確立できたのか
食品保存「ゆとり」訴求
旭化成子会社の旭化成ホームプロダクツ(東京都千代田区)が手がける食品用ラップフィルム「サランラップ」。長年、食品用ラップフィルムで国内トップシェアを維持しており、旭化成で最も消費者の認知度が高い製品の一つと言える。
その歴史は長く、発売は1960年。積極的な広告プロモーションやスーパーマーケット向けの流通戦略が功を奏したことに加え、冷蔵庫や電子レンジが急速に普及したこともトップシェアの確立を後押しした。
旭化成ホームプロダクツマーケティング部の浅田昌吾部長は「赤字の中でも積極投資したことで差が出た」と分析する。バリアー性や密着性、箱の形状にも工夫を施すといった性能面の特徴も寄与している。今後も「ユーザビリティーの面からの商品改良を継続していかないといけない」(浅田部長)と身を引き締める。
一方、日本ではラップ使用量の多い家族世帯の頭打ちなど事業環境の変化が出てきている。そこで取り組む施策の一つが「冷凍貯金」だ。冷凍貯金は食材を冷凍貯蔵してもらうことで、日々の暮らしにゆとりを生むことと定義する。例えば、冷凍保存によって買い物の手間を省ければ調理時間の短縮につながるなど、さまざまなメリットを訴求する。
サランラップやジッパーバッグ「ジップロック」など食材の冷凍貯蔵に活用できるさまざまな商品を持つ強みを生かす。
海外展開では文化的な違いなどの課題対応を検討していく構えだ。(山岸渉)
日刊工業新聞 2024年11月07日