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車用鋼板の必要部分のみ加熱できる技術、ネツレンが開発

アークと共同で。センターピラーなど骨格部材への適用を目指す
 ネツレンは直接通電加熱(DH)により、自動車用鋼板の必要な部分のみ加熱できる技術(写真)をアークと共同開発した。主に高張力鋼板(ハイテン)を加熱し、金型成形するホットプレスに適用するもの。狙った箇所にのみ熱エネルギーを集中させるため、消費エネルギーを大幅に低減できる。設備も小型化できる上、加熱時間も短縮できるとしており、自動車のモデルチェンジ時での導入を目指し、採用を働きかけていく。

 ホットプレスはハイテンのような硬い鋼板を加熱炉で熱し、鋼の組織を変態させた上で加工しやすくし、金型でプレス成形している。ネツレンはホットプレスの加熱用にDH装置を開発。炉方式より消費エネルギーが少なく、加熱時間と設置面積をそれぞれ10分の1程度に低減できる点を訴求し、営業活動を進めている。

 今回は移動電極方式を取り入れ、電極の移動時間や電流の大きさなどを制御することで、1枚の鋼板にしま状に加熱部と非加熱部を設けることに成功した。

ネツレンは部品の統廃合を含め、新たな発想の車体構造設計も可能になるとしており、数年後に市場投入される次期車種の開発段階から新技術を提案する意向。まずはセンターピラーなど車の骨格部材への適用を目指す。
日刊工業新聞2016年4月15日素材
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
自動車向け新材料の加工分野は要注目。日本の競争力の源泉にもなる。

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