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電力大手の4-9月期…10社中9社が経常減益、期ずれ差益が大幅縮小

電力大手10社の2024年4―9月期連結決算は、沖縄電力を除く9社が経常減益となった。燃料価格の変動分を電気料金に反映させるまでのタイムラグ(期ずれ)による差益が前年に比べ大幅に縮小したため。複数社で今期は期ずれ差損に転じた。売上高は関西電力など4社が増収、東京電力ホールディングス(HD)など6社が減収となった。

期ずれ影響の悪化幅は東電HDが1990億円、関電が1660億円、中部電力が1210億円、東北電力が870億円で減益要因の大半を占める。送配電部門で需給調整費用がかさんだ企業も多い。「需給調整市場に出てきている“玉”の単価が高い」(山口裕之東電HD副社長)。

減益ながら多くの企業が高い経常利益水準を維持し、関電や東北電などは過去2番目、中部電は同3番目だ。中部電は、販売事業会社での電力調達コスト低減や発電会社での燃料トレーディング事業での利益創出で稼ぐ力がつき、「それなりの水準を維持できた」(林欣吾社長)とした。

関電や九州電力など4社は増収。売上高は過去最高を更新した。

25年3月期連結業績見通しは、8社が経常減益を見込む。沖縄電は増益、東電HDは非公表とした。猛暑の影響による電力販売の増加などが利益を押し上げ、5社が経常利益を上方修正した。中部電は電源調達コストの抑制も加味し前回予想に比べ600億円と大幅に引き上げた。

下期の原発再稼働により、東北電は経常利益で130億円、中国電は110億円程度の改善効果を見込む。東北電は「電気料金を通じ再稼働の感謝の気持ちを示したい」(同社)とし、一時的な料金割引を行う。財務基盤の改善が急務のため料金値下げは行わない。

日刊工業新聞 2024年11月01日

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