トヨタ自動車とＮＴＴは３１日、交通事故ゼロ社会の実現に向けてモビリティー分野での人工知能（ＡＩ）・通信技術の開発に共同で取り組むことで合意したと発表した。切れ目ない通信基盤と大量データを処理するＡＩ基盤、計算基盤を組み合わせた「モビリティＡＩ基盤」を共同で構築。両社で２０３０年までに５０００億円規模の投資を計画する。人やモビリティー、インフラをつなげ、安全・安心で持続可能なモビリティー社会の実現を目指す。

モビリティＡＩ基盤はＮＴＴの次世代光通信基盤「ＩＯＷＮ（アイオン）」の光通信技術を活用した分散型計算基盤（データセンター）、ＡＩによるリアルタイムで最適な通信を選択するインテリジェント通信基盤、ＡＩ基盤など３基盤で構成する。

死角のある交差点での出合い頭の接触防止や大量の走行データに基づきＡＩが学習する高度運転支援、将来的な自動運転システムの開発、事故につながる危険行為を退けることを促す「ＡＩエージェント」などの開発につなげる。

モビリティー分野での標準化を目指し、産学官のパートナーにも広く活用を働きかける。２５年以降に同基盤の開発を始め、２８年ごろから多様なパートナーとでインフラ協調による社会実装を開始。３０年以降の普及拡大を目指す。

３１日の会見でトヨタの佐藤恒治社長は「協業でクルマの未来を変える大きな一歩を踏み出す」と述べ、ＮＴＴの島田明社長は「住みよい地球と豊かな社会を作る。賛同する仲間を増やし、輪を広げていきたい」と意気込みを語った。