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製造業の海外展開、コロナ禍で中国撤退が増加

製造業の海外展開、コロナ禍で中国撤退が増加

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グローバルサウスにシフト

製造業の海外戦略が新型コロナウイルスのまん延を契機に変化している。経済産業省がまとめた「通商白書2024」によると、日系製造業の立地地域別売り上げで中国が最大である一方、撤退を選ぶ企業も増えているとした。存在感を高めるインドなどのグローバルサウス(南半球を中心とした新興・途上国)で事業を拡大する動きが広がる可能性がある。

コロナ禍の2021年度の立地地域別売り上げは約139兆円だった。中国が全体の4分の1を占め、東南アジア諸国連合(ASEAN)なども含めると、アジアでの生産が活発だ。北米の売り上げ規模も大きい。

ただ中国をめぐっては、米国との対立や経済安全保障の観点から慎重な経営判断が求められそうだ。コロナ禍をきっかけに中国から撤退するケースも少なくないという。

通商白書では、企業が事業環境の変化やリスクを踏まえ立地の見直しを進めていると指摘。日本貿易振興機構(ジェトロ)の調査によると、インドやブラジル、ベトナムなどの事業を拡大する意向を持つ企業が増えている。製造業にとっては、台頭するグローバルサウスの市場を取り込む戦略がカギとなりそうだ。

日刊工業新聞 2024年10月29日

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