ニュースイッチ

ダウンコートと電力の共通点は?―暖冬で売れなかったモノ

ダウンコートと電力の共通点は?―暖冬で売れなかったモノ

帝人フロンティアの「オプトマックスHT」を使ったシャツ

*三陽商会、気候変化に対応しやすい紳士服展開−端境期向け商品投入
 三陽商会は紳士服で、気候の変化に対応しやすい商品展開を推し進める。2015年の秋冬に投入した商品の品ぞろえが、ダウンコートなどの真冬向けに偏重していたため、暖冬の影響を受けた反省を踏まえた。秋口や季節を越えて長い期間に使える、薄手の衣料品や雑貨を充実させる。

 三陽商会の基幹ブランドの「ポールスチュアート」では、ダウンアイテムの生産量を前年比2割減らし、夏物から冬物に切り替える端境期向けのアイテムにシフトする。「マッキントッシュ フィロソフィー」のスポーティーライン「ブリテック」でも、気温に左右されにくいキルティングジャケットや、バッグ、傘などの生産量を倍増する。

 端境期向けに、帝人フロンティア(大阪市中央区)の開発した素材「オプトマックスHT」を使ったジャケットやコート、シャツを9―10月に発売する。オプトマックスHTは、湿気や赤外線を吸収することで発熱する機能を持った薄手の生地で、背上部などに挟み込んだ。

 今冬シーズンは気温が高く、厚手のコートやジャケットなどの売れ行きが鈍かった。2月の全国の百貨店の紳士服・洋品の売上高は前年同月比4・5%減で、4カ月連続のマイナスだった。

 三陽商会の1―3月の紳士服の売上高は前年並みだったが「防寒具は売れず、薄手で着回しの効く服が売れた」(中山雅之事業本部紳士服事業部長)点を次のシーズンに生かす。

電力10社の発受電、昨年度3.3%減−大口で購入先変更増


 電気事業連合会(電事連)が13日発表した電力10社の2015年度の発受電電力量(速報)は、8644億5298万キロワット時と、前年度を3・3%下回った。前年度割れは5年連続。夏場が涼しかった一方で冬場が暖かかったため、冷暖房向けの電力需要が落ち込んだ。節電の浸透や、電力を自家発電で賄ったり、新規参入事業者からの購入に切り替えたりする大口需要家が増えたことも響いた。

 大手10社が自ら発電した電力量の電源別内訳は火力が前年度比7・0%減、水力が同5・4%増、「新エネルギー等」が同0・4%増だった。原子力発電所の設備利用率は、前年度の0%から2・8%に高まった。九州電力川内原発(鹿児島県薩摩川内市)1、2号機の再稼働や、関西電力高浜原発(福井県高浜町)3号機の一時運転再開で、2年ぶりにプラスになった。

 同時に発表した16年3月単月の発受電電力量(速報)は、電力10社の合計で737億4227万キロワット時と、前年同月を3・4%下回った。前年同月割れは15カ月連続。暖冬で暖房向けの電力需要が減ったことが主な要因。
日刊工業新聞2016年4月15日 建設・エネルギー・生活2面/2016年4月14日 総合4/国際面
昆梓紗
昆梓紗 Kon Azusa デジタルメディア局DX編集部 記者
冷夏・暖冬と消費税増税が尾を引き、個人消費の回復が鈍化しています。

編集部のおすすめ