軽トラ×デジタルで移動販売後押し、ダイハツが創業意欲を引き出す
ダイハツ工業はデジタル技術を活用して、軽トラックで移動販売を手がける小規模事業者の創業を支援する。荷台に載せ替え可能なコンテナ「Nibako(ニバコ)」のレンタルサービスを拡充。個人では利活用が難しい市場調査や販売促進、業務の効率化などに役立つデジタルツールやデータを、手軽かつ安価に使える体制を構築する。移動販売に挑戦しやすい環境を作って潜在する創業意欲を引き出し、地域の活性化につなげる。
ダイハツは移動販売のノウハウがない初心者でも、モデル化した出店戦略や立地特性に関するデータなどを活用して成功可能な支援策の確立を目指す。「チャレンジしやすい環境を作り、何かやってみたいと思う人を後押しする」(加納義之くらしとクルマの研究部主査)のが狙いだ。
支援策開発のため、ニバコ顧客の一部から課題を聞き取り、解決策を手作りで提供している。例えば、ニバコにカメラを設置して店前を何人が通ったかの人流データを集め、販売実績と照らし合わせて人工知能(AI)で相関を分析する。
ニバコが複数出店する地域では、商圏や集客層、売れ筋の商品構成などデータを蓄積していくことで、新規参入者への助言にも生かせるとみる。また、売り上げ予測や販売管理などにITの活用を期待する声があり、必要最小限の機能を安価に提供する仕組みづくりも視野に、IT事業者との連携も模索する。
ダイハツは従来の販売店と顧客の対面接点を生かし、ニバコを通じて、クルマの“売り切り”ビジネスからの転換を構想する。経営支援サービスはニバコ顧客に限らず、軽乗用車や軽商用車を使う小規模事業者全般に広く提供できると想定し、事業化を見据える。
日刊工業新聞 2024年10月25日