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水素エンジン実用化へ貢献…ダイヤモンドエレHDが開発、点火コイルの機能

水素エンジン実用化へ貢献…ダイヤモンドエレHDが開発、点火コイルの機能

水素エンジン用点火コイル

ダイヤモンドエレクトリックホールディングス(HD)は、誤ったタイミングによる着火を防ぐ水素エンジン用点火コイルを開発した。技術評価用の試作機としてエンジンメーカーから受注した。燃やしても二酸化炭素(CO2)を発生しない水素エンジンの実用化に、点火コイルメーカーとして参画する。

水素は着火し燃え広がりやすいため燃焼の安定制御が難しく、水素エンジンの実用化を阻む要因となっている。ダイヤモンドエレクトリックHDは、シリンダーに残留する点火コイルの電圧が、水素ガスの圧縮時でなく吸気時に誤って着火を起こす現象を解析。圧縮時以外の電圧を抑え誤着火を防ぐ技術を開発し、エンジンの出力に必要な高い燃焼圧を得た。

水素は体積当たりの熱量が少なく、高圧縮や高電圧着火による燃焼圧の引き上げも欠かせない。分子が小さく漏れやすい水素ガスを密封する必要もあり、実用化の技術課題は多い。だが、燃焼してもCO2を生じず、再生可能エネルギーで水を電気分解し生成すれば燃料として長く確保できる。このため多様な用途のエンジンで産学官が研究開発に挑んでいる。トヨタ自動車は液体水素を燃料とするエンジン開発に取り組み、レース車で実走し検証している。

日刊工業新聞 2024年10月22日

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