<防災最前線#07>富士通、災害早期検知にSNS活用

東日本大震災を受けて、各社はどう対応したのか

 災害は「いつ」「どこで」発生するかわからない。富士通は、その検知のために、住民の目撃情報をデータとして活用することで的確な災害対応支援システムを提案する。従来は水位計・雨量計などのセンサーや、特定の市民からの報告などの情報を集約し、分析することで災害の早期発見や住民への適切な防災対応を支援していた。そこにSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)への一般市民の自由投稿情報から抽出した災害情報をプラスする。

地図上に集約


 SNSを活用した市民参加型の防災システムは、市民がスマートフォンのアプリケーション(応用ソフト)で写真やメモを集めた災害状況をリアルタイムで集約して共有する仕組み。

 スマホの全地球測位システム(GPS)に基づいて、河川の水位や雨量情報に関する写真やメモを一つの地図上にまとめて集約する。市民はスマホの同アプリで集約した災害情報を参照できる。

 利用するSNSは「ツイッター」を採用した。同システムについて、「ITを駆使しつつも、先祖返りしたようなシステム」(社会イノベーション統括営業部第二営業部の笠間慶文部長)と例える。”人“を活用するというのが大きなポイント。画像処理技術は進化しているが、先が読めない災害を予測するには限界がある。それを人の力で補うという考え。

 現在、インドネシアとベトナムで国際協力機構(JICA)の協力のもと、同システムの実証実験を開始した。センサーや屋外カメラなどの設備は多くの時間とコストがかかるため、短期間で低予算なシステムが両国ともに求められていた。そこで、センサーやカメラを利用せずに災害情報を共有し、事前対策や避難行動など的確な災害対応を支援するシステムとして市民参加型防災システムを提案する。

 インドネシアではジャカルタ特別防災局向けに構築。同局が運用する既存の災害情報管理システムとも連携している。河川の水位や雨量に関する情報を収集し、浸水の検知を行う。

関連性を分析


 ベトナムでは中部地域フエ省で従来のセンサーやカメラを利用した場合の測定結果と比較し、有効性を検証している。また、ベトナムで過去2年間のツイッター情報のデータマイニングを行う。当時の「つぶやき」の内容と実際に発生した災害場所・日時との関連性の分析も並行して実施している。

 さらに、同システムの肝となる住民から情報をより確実に提供してもらえるための仕組みづくりを検討している。例えば、ポイントなどインセンティブを付与することなどが想定される。

 国内外ともに「防災のICT活用のニーズは増えてきている」(社会イノベーション統括営業部第二営業部の宮岸邦武氏)という。今後は、国・地域ごとにカスタマイズして、提供していく予定。同システムだけでなく、センサーも組み合わせた総合的な提案で住民の安全を守る支援を行っていく。
(文=松沢紗枝)

日刊工業新聞2016年1月11日

明 豊

明 豊
04月15日
この記事のファシリテーター

東日本大震災をきっかけにLINEのサービスが考えられ、その年の6月にリリースされました。今やSNSは災害対応に欠かせない社会インフラです。

この記事にコメントする

  

ファシリテーター紹介

記者・ファシリテーターへのメッセージ

この記事に関するご意見、ご感想
情報などをお寄せください。