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<防災最前線#02>兼松日産農林、丸太打ち込み液状化対策

東日本大震災を受けて、各社はどう対応したのか
<防災最前線#02>兼松日産農林、丸太打ち込み液状化対策

丸太打設後

 2011年の東日本大震災による地盤の液状化現象は、東京湾岸地域などの住宅に甚大な被害をもたらした。それを受け、ゼネコンなどの民間企業による液状化対策が進んでいる。兼松日産農林などは、木材を使った液状化対策工法を業界で初めて開発した。液状化被害の防止に加え、木材利用による地球温暖化の緩和や、日本の林業再生につながる工法としても注目される。

 液状化は、地下水位が浅く緩い砂地盤で発生しやすい。地震の揺れで地盤が変形し、砂粒の隙間の水を押し出そうとする力で水圧が高まり、砂粒同士の接触する力が弱まることで地盤が流動化。地盤強度が下がってしまい、建物の傾斜や沈下を招く。

 兼松日産農林は、基礎工事で使われる杭(くい)が木材からコンクリート材にシフトしたことを受け、04年ころから木材の地中利用に向けて木杭などの設計方法や耐久性、施工方法の研究開発に取り組んできた。

 そんな中、東日本大震災により液状化被害が多発したことで「当社の力で何かできないか」(水谷羊介取締役)と、検討を進めていた。

 そこで、従来から丸太を使った液状化対策の研究開発に取り組んでいた飛島建設と、土木・建築資材商社の昭和マテリアル(北海道岩見沢市)の3社で11年に技術提携を締結。木材を利用した液状化対策工法の研究に乗りだし、「丸太打設液状化対策&カーボンストック工法(LP―LiC工法)」の開発に結びつけた。

林業活性化


 同工法は、地盤改良材として丸太を砂地盤に短い距離間隔で打ち込み、地盤を密に締め固めることで、従来工法と同等の地盤沈下抑制効果を実現。丸太はコンクリートや鉄の杭に比べて打設時の振動と騒音が低いため、市街地や既設の建物に近い場所でも施工できる。

 使用する丸太は製材のような高品質である必要はなく、間伐材の利用が可能。地域の木材を大量に使うことで、地域林業の活性化への貢献も見込める。

 また地球温暖化対策に貢献できる点も強みだ。二酸化炭素(CO2)を吸収した丸太を使うことで、CO2を地中に貯蔵できる。鋼材やセメントは製造・加工過程で大量のCO2が発生するため、木材への代替により地球温暖化緩和にも貢献できる仕組みだ。

CO2抑制


 同工法を用いて約100平方メートルの一戸建て住宅の地盤を深度7メートルまで改良する場合、地中に貯蔵される炭素量は家庭1世帯からのCO2排出量の約10年分に相当するという。既に千葉県浦安市では公園での公開実験のほか、老人ホームと一般住宅向けに採用されている。そのほか浦安市以外からも、コンビニエンスストアの駐車場や庁舎、工業地帯のタンク用地向けに問い合わせがあるという。

 ただ同工法には、丸太の安定調達が不可欠となる。そのため「我々から丸太の需要情報などを林業事業者に伝えれば、彼らも供給計画を立てやすくなる」(同)と認識。今後、供給側との連携をいかに深められるかが普及のカギとなりそうだ。
(文=土井俊)
日刊工業新聞2016年3月28日
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役ブランドコミュニケーション担当
今回も液状化の心配はあります。

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