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<防災最前線#01>日本郵便、470自治体と協定。非常時に被災者情報

東日本大震災を受けて、各社はどう対応したのか
<防災最前線#01>日本郵便、470自治体と協定。非常時に被災者情報

宮城県名取市で小学校グラウンドに設置された車両型郵便局

 「〇〇さんでしょうか」―。2011年の東日本大震災後、公民館や体育館など被災者の避難先で、郵便局員が懸命に配達先を探す姿があった。全国2万4000の郵便局ネットワークを持ち、約40万人の従業員がいる日本郵便では、郵便物の配達や窓口業務をいち早く再開。一方、東日本大震災を機に従業員の安否確認や被災状況を素早く確認できる体制も強化している。

 東日本大震災発生後、日本郵便は1週間も経たずに郵便物の配達を再開したが、被災者の避難先を把握できず、困難を極めた。被災者が集まっていた避難所に行き、一人ずつ探して郵便物を届けたほか、自治体から避難所にいる被災者名簿が渡されるようになっても、本人確認のため多くの時間を要した。

 地域に根ざしたネットワークを持ち、多くの従業員がいる日本郵便だからできた人海戦術だった。現在は約470の自治体と協定を結び、非常時には被災者情報を提供してもらえるようにしている。

車両型郵便局


 また東日本大震災発生当初の3月14日時点で、東北3県(岩手県、宮城県、福島県)にある郵便局1422局のうち約半分の683局が休止していたため、一刻も早い窓口業務再開に向け車両型郵便局を3月20日に稼働させた。最終的には15台の車両型郵便局を現地に派遣し、はがきの無償配布や1人当たり20万円を限度とした貯金の非常取り扱い、保険に関するサービスなどを提供した。1日平均50人が利用し、好評だったという。現在は車両型郵便局として7台を所有している。

 こうした災害時でも事業を継続した一方で、日本郵便は東日本大震災を機に従業員の防災意識を高め、安否確認も効率よくできるよう体制を強化した。

 13年は、災害時にどのように対応すればよいかをまとめた”ポケットマニュアル“を約40万人の全従業員に配布した。非常時に持ち出す物のリストや災害時対応などが記載されており、折りたたんで定期入れなどに入れられる。防災訓練はポケットマニュアルに基づいて行っている。

 また、16年2月にはセコムの安否確認サービスを導入。震度5弱以上の地震が発生すると、発生場所に居住地か勤務地がある従業員の携帯電話などのメールアドレス宛てに自動的に安否確認メールを配信。従業員は専用サイトで、安否状況や家屋の被災有無、会社への出社可否などの質問に返答する。

メールで情報


 返答状況は自動集計され、リアルタイムで状況を把握できる。もし返答がない場合は、局長が個別に連絡を取る。以前は担当者が電話をかけるかメールを発信し、手作業で集計していたため多くの時間と人手を要した。現在、メールアドレスの登録率は85%程度で、「登録率を上げていくことが課題」(堀越仁一危機管理係長)だという。

 「現在の取り組みで災害を完全に防げるわけではないが、できる範囲でこれからも取り組んでいく」(三倉正明危機管理室長)と、会社としても力を入れていく。
(文=湯原美登里)
日刊工業新聞2016年4月4日
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役ブランドコミュニケーション担当
九州で大きな地震が発生しました。被害ができるだけ少ないことを願っています。日刊工業新聞で連載している各企業の「防災」の取り組みをアップしていきます。

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