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工場・ビル内の時系列データを3D空間に再現…三菱電機が新技術、未来予測可能に

工場・ビル内の時系列データを3D空間に再現…三菱電機が新技術、未来予測可能に

建物内のデータを3D空間に時系列で蓄積・分析することで、新しいソリューションを提供する

三菱電機は工場やビル内の3次元(3D)データを時系列で収集し、デジタル空間上で再現する技術を2026年3月までに開発する。モノや人の時系列データを3D空間上で構築する上、顧客が使用する機器などのデータと組み合わせることで、さまざまな角度からの現状分析や未来予測が可能となる。新たなソリューションを提供し、オフィスビル内の快適性向上や工場内での二酸化炭素(CO2)排出量可視化など社会課題の解決に貢献する。

開発するデータ基盤「GeoCLOVER(ジオクローバー)」は、基礎技術はすでに完成しており、三菱電機の先端技術総合研究所(兵庫県尼崎市)で検証している。

同研究所の安達佳明主席研究員は、現実世界を仮想空間に再現する従来のデジタルツイン技術では「サービスの目的ごとにデータを集めていたため、データが限定的で汎用性に乏しかった」と指摘する。開発するジオクローバーでは膨大な3D空間データを時系列で収集・蓄積するため、これまで気付かなかったような変化も捉えることができるという。

これまでに開発した基礎技術は、建物内の空間を高い精度で計測する技術のほか、位置や時間が異なる3D空間のデータをつなぐ技術、3D空間データを時系列に管理する技術、3D空間データからモノを認識する技術で構成される。

これらの技術によってモノや人の時系列データを3D空間上に構築する。さらにビルや工場内で日々生み出されるデータを組み合わせることで、脱炭素や省人化・無人化など新しいソリューションの提供を目指していく。

今後、サービスロボットや飛行ロボット(ドローン)と連携させ、必要なデータを収集するほか、拡張現実(AR)技術への対応も模索しており「遠隔地でも現場にいるような体験」(安達主席研究員)を提供する。

今後、三菱電機の工場やビル内で実証などを想定しており、26年3月までの完成を目指す。また、5月に三菱電機が立ち上げた全社共通のデジタル基盤「Serendie(セレンディ)」とも連携し、提供するソリューションの幅を広げる。

日刊工業新聞 2024年10月10日

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