高まる重要性…日本製紙、廃棄物再資源化へあの手・この手
日本製紙が他社と連携し、廃棄物を再資源化する取り組みを活発化している。ニチバンと粘着テープの製造過程で発生する剥離紙のリサイクルに成功。栗田工業とは子会社の日本製紙クレシア(東京都千代田区)を通じ、リサイクルしやすい紙おむつの共同開発に着手した。紙の製造で培った知見を生かし、循環型社会の実現に貢献する狙いがある。
日本製紙はニチバンと、剥離紙をリサイクルする取り組みを始めた。剥離紙は粘着製品の製造工程や最終製品において、粘着剤の保護に用いられる。基紙には再生が難しいポリエチレンラミネート紙が使われることから、国内で製造される剥離紙の大半が廃棄または熱源として利用されている。
こうした再資源化に向けた課題を踏まえ、ニチバンは製造工程の段階で粘着物と剥離紙の分別を徹底するとともに、日本製紙はポリエチレンラミネート紙からポリエチレンを分別するリサイクル技術を提供。剥離紙を製品梱包用の段ボールとして再生することに成功した。
また、栗田工業とはリサイクルしやすい紙おむつの共同開発に乗り出した。使用済み紙おむつからプラスチックやパルプ類を分別する栗田工業の知見と、日本製紙クレシアが持つ紙おむつの開発・製造ノウハウを融合。廃棄量が拡大する傾向にある使用済み紙おむつの再資源化を進める方針だ。
脱炭素の達成やサプライチェーン(供給網)の強化などを背景に、国内外で資源循環の重要性が高まっている。日本製紙は総合バイオマス企業への成長を目指す中で、古紙回収などの知見を生かした資源循環戦略を重視。一連の取り組みも、この一環で行う。
同社は異業種を含む他社との連携によってより幅広い分野で循環型社会の実現に貢献するとともに、顧客に紙の再資源化を積極的に提案することで紙の市場拡大にもつなげたい考えだ。