大台500万人突破…宇都宮―栃木・芳賀町結ぶLRT、予想上回る利用
車シェア・乗り継ぎ拡充、町中心部の魅力高める
宇都宮市と栃木県芳賀町を結ぶ次世代型路面電車(LRT)路線「ライトライン」の累計利用者が、2023年8月26日の開業から384日目の9月12日に大台の500万人を突破した。運行会社の宇都宮ライトレール(宇都宮市)によると、想定より3カ月以上早く到達した。宇都宮市や芳賀町はLRTを新しい町づくりに生かす方針だ。(栃木・辻本亮平)宇都宮ライトレールは9月13日にJR宇都宮駅東口にある停留場で500万人達成イベントを実施。運転士が500人分の記念品を利用者に一つずつ手渡した。
直近の1日当たりの利用者は平日が1万4000―1万7000人程度。混雑緩和に向けたダイヤ改正で利用者が増え、通勤・通学の足として定着した。土日・祝日も当初需要予測を大幅に上回る水準で利用された。
LRT整備の主眼は少子高齢化時代を見据えたネットワーク型コンパクトシティー(NCC)の整備。宇都宮市は割引制度など乗り継ぎ支援策を打ち出し、誰でも自力で移動できる町づくりを進める。8月には車内に自転車を持ち込む「サイクルトレイン」の実証実験を実施した。
シェアリングモビリティーの活用も加速する。22年12月に中心市街地で実証実験を始め、23年8月のLRT開業に合わせ規模を拡大してきた。この10月からさらに拡大し、60カ所(23年度末時点)のポートは約100カ所に、電動アシスト自転車など160台(同)の車両は350台に増やす。27年度までにポート約200カ所、車両約600台を目指す。
終着駅がある芳賀町は24―25年度に新しい社会実験を計画した。乗り継ぎ拠点であるトランジットセンターの機能を高め、タクシーやバス、カーシェアやシェアサイクルと連携しやすい環境整備を目指す。
移動手段を充実させて、自動車移動からの転換を促しながら、道の駅など町中心部の魅力を高める狙いだ。まず移動実態を調査し、25年度にトランジットセンターからの距離に応じ交通モードを検討する予定だ。
LRTは11月17日投開票予定の栃木県知事選の争点にもなり得る。福田富一知事は出馬表明した知事選に向け、公約骨子としてLRTの宇都宮駅西側への延伸に言及。「西側延伸への支援と、(東武鉄道の)東武宇都宮線との連携による公共交通の広域ネットワーク化を目指す」とした。東武宇都宮線との連携については「接続、あるいは乗り入れのいずれの選択肢もある」とみる。