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「自動道路」実現のカギ…物流パレット標準化、国交・農水・経産省など挑む

「自動道路」実現のカギ…物流パレット標準化、国交・農水・経産省など挑む

パレットの標準化はモーダルシフトなどさまざまな施策実現のカギを握りそうだ(イメージ)

国土交通、農林水産、経済産業の3省と民間が一体となって、物流パレットの標準化に取り組んでいる。トラックドライバーが不足する「2024年問題」対応をはじめ、人口減少時代に持続的な物流を維持するためには、可能な限りの物流効率化が必要だ。6月にはパレット標準化推進分科会が約3年の議論を経て「11パレット(縦横1・1メートル)を標準規格とし、運用を含めて効率化を図る」とする取りまとめを出した。

パレット標準化は古くからの課題で、1970年に日本工業規格(JIS、現日本産業規格)の一貫輸送用パレットに11パレットが制定されている。ただ、すでに酒類など各業界で独自のパレットが普及しており、現在も8種類が流通している。欧州では規格制定と同時にパレットを扱う社会的ルールも定め標準化に成功した。規格だけでなく全産業で利用できるレンタル組織やルールが伴うことが必要だ。

政府は21年に新しい「総合物流施策大綱」を閣議決定し、デジタル化や標準化によるサプライチェーン(供給網)全体の徹底した最適化を模索している。6日に開かれた官民物流標準化懇談会では「パレット規格と運用をここまで議論できたことは大きな前進」という意見の半面、「現状案では着荷主側に荷降ろし設備や人員の負担があり、標準化のメリットが見えない」といった厳しい意見も出た。国交省は異種パレットの共同回収や仕分けの仕組み、複数のレンタル事業者による共同プラットフォーム(基盤)や共同管理システムが必要とみる。

持続的な物流の実現には鉄道や内航輸送などのモーダルシフトが不可欠。さらに将来に向けては、パレットに積んだ荷物が高速道路に沿って自動的に輸送される自動物流道路も検討されている。パレットの標準化はこうした施策実現のカギでもある。

日刊工業新聞 2024年09月30日

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