重量3分の2で搬入負担を軽減…LIXILが挑む「システムキッチン」の物流改革
LIXILはシステムキッチンの物流改革に取り組んでいる。熱やキズ、汚れに強く高級感がある一方、一般的な人造大理石製より重量のかさむセラミックス製のワークトップ(調理台)を軽量化した。搬入時の課題とされてきた人員確保や労力の負担を軽減。構造面でワークトップの分割にも対応し、エレベーターによる搬入が必要なマンションリフォームで需要を取り込みたい考えだ。
高価格帯のシステムキッチン「リシェル」を全面的に刷新し、4月に新製品を投入した。梱包を含め130キログラム近くあった従来のセラミックトップの重量を、3分の2の約85キログラムに削減。人造大理石製と同等レベルを実現している。加えて、かさばるトップを分割し、施工時に現場でつなぐ新構造にも対応。搬入時の外階段での取り回しやエレベーターの使用が容易になった。
通常は2人で搬入して現場で施工するが、2階以上の住宅では部材一式の荷揚げなどに7人は必要とされる。「職人の高齢化が進む中、重労働で時に危険が伴う。搬入する建物の構造によっては、梱包から取り出さないと運び込めないケースもある」(同社)という。軽量化と分割対応により配送・施工を効率化している。
軽量化に向け、セラミックトップの構成部材を分析。本体は裏貼り補強の合板を発泡材、製品前面の意匠部となる框(かまち)のセラミックス材をアルミニウム材に変更した。框はインクジェット印刷でセラミックス色柄を表現し、意匠性と軽量化を両立させた。構成部材を変更することで梱包部品を従来の31点から19点に簡略化し、本体重量で約25キログラム、梱包で約17キログラム削減した。さらに環境への配慮で運搬時の二酸化炭素(CO2)排出量を従来より33%程度削減しているという。
システムキッチンの主力工場であるLIXILサンウエーブ製作所(埼玉県深谷市)の深谷工場は、キャビネットの荷ぞろえを2017年に100%自動化した。従来は出荷前に作業員22人が手作業で対応していた工程で省人化を実現。自動化により製品を取り扱う際の人的ミスがなくなり、品質向上につながった。
積み込みの集中回避やドライバーの荷待ち解消など効率化にも注力する。「受注をシステムで制限し、日々の生産負荷と配送量を平準化する」(LIXILサンウエーブ製作所の中出匡宣深谷工場長)ことで、物流の「2024年問題」の解決を図る。部材の軽量化と施工性に加え、配送効率を追求する。