人手作業3分の1に短縮…ナカシマプロペラ、大型砂型成型にロボットシステム導入
ナカシマプロペラ(岡山市東区、中島崇喜社長)の主力製品である舶用プロペラは、船ごとに一品一様の形状を持つ典型的な多品種少量生産品。かつ大型品は100トンを超える重量物で、ロボット導入にも特有のノウハウと知恵が必要だ。
玉島工場(岡山県倉敷市)は、直径5メートル以上と中・大型の固定ピッチプロペラの専門工場。生産効率向上のカギを握るのが高精度な鋳造、特に型作りの工程だ。
砂型鋳造では通常、鋳込む製品の模型に木や発泡スチロールの型を用いる。ところが同社のプロペラの形状は毎回異なる。このため「まわし型」という型を使う。プロペラ上下の鋳型に加えて、本体の模型も砂で造形した後に取り除き、隙間に銅合金を鋳込む。
下型の成型はプロペラの中心からの距離と角度、基準面からの高さで座標を決定しクギを打つ。人がこてを使ってクギの間に砂を盛り付けていく。この上にベニヤ板で形状を取った砂の本体模型と、鉄枠ベースの上型を重ねていく。型製造開始から鋳造終了まで小型品で1週間、大型品は2週間かかる。
2020年に導入したのが砂型を成型するロボットシステムだ。ロボットに持たせた刃物で塊状の砂を切削し上下の砂型を成型する。造型寸法は最大2・5メートル角、精度はプラスマイナス1ミリメートル。利点は人手に比べ寸法のバラつきが減ること。リードタイムも低減し、型製造開始から鋳込みまでの時間は従来の3分の2に、うち人手による作業時間は3分の1に短縮できる。
課題は大型品への適用。直径2・5メートルといえば内航船に使われるクラスで同社としては小型。国内指定がない限りはベトナム子会社で量産する。国内のメーン製品である中・大型品に適用するとなると砂型を分割する必要があり、壊さないように扱うのが難しい。
「リードタイムが短く同じものを繰り返し作れるのが利点。次にロボットを導入するなら仕上げの磨き工程」と佐原慎太郎玉島工場製造部長は話す。