半導体需要を狙え、真空機器メーカーがアピールする最新技術
水など使用量可視化・最低限の電力で稼働
真空機器業界で半導体関連市場を深耕する動きが加速している。18日に東京ビッグサイトで開幕した真空機器・真空装置の総合展示会「VACUUM2024真空展」では、各社が省エネルギー性能や自動化を追究した最新製品・技術を出展。今後も成長が見込まれる半導体需要を取り込もうと、担当者のPRにも熱がこもる。
荏原は半導体工場での省電力や省スペースのニーズに対応する製品、システムを出展した。ドライ真空ポンプ「EV―X型」は、半導体製造の化学気相成長(CVD)やエッジング向けに、「長寿命化と消費電力削減の両立」(担当者)に加えて、高負荷化・複雑化に対して幅広いプロセスに対応可能なことを訴求する。
また電力使用量の遠隔監視サービス「EBANET 3」も紹介。半導体工場の水や電力使用量のデータを収集、可視化することで半導体工場で高まる省エネ化を後押しする。
住友重機械工業も半導体製造関連向けに、スパッタリングやイオン注入装置用に気体をため込んで排気するクライオポンプを訴求する。ポンプと圧縮機にインバーターを搭載してモーターを調整することで、必要最低限の電力で稼働できる省エネ性を生かし、「工場の環境負荷低減ニーズに対応する」(担当者)方針だ。
芝浦メカトロニクスは電子部品用スパッタリング装置をパネルで紹介。中でも独自のスパッタ源と高速搬送技術を組み合わせた「BM―1400E/W」を、化合物半導体系や幅広い電子部品の生産現場に提案している。さらに、同社担当者は「昨今は人手不足が課題なので、自動化ラインへの装置のドッキングなども提案したい」と意気込む。
オプトラン(埼玉県鶴ヶ島市)は半導体光学用成膜装置「OWLS―1800」などの装置をパネルで展示。同社は海外を中心に装置を展開しているが、担当者は「出展を通じて興味を持っていただき、具体的な商談ができれば」と期待を寄せる。
データセンターや生成人工知能(AI)など向けに半導体のニーズは継続することが見込まれている。今後も製造現場の省電力や環境負荷低減など、課題解決に向けた各社の開発が加速しそうだ。
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