ニュースイッチ

雪で見えない地形見える化…芝浦工大と西武建設、除雪支援システム

斜面・標識削らず安全

芝浦工業大学の長谷川忠大教授らは西武建設(埼玉県所沢市)と共同で、深雪で見えない地形を可視化する除雪作業支援システムを開発した。全球測位衛星システム(GNSS)で除雪車両の位置を測り、地形情報と照合して斜面までの距離などを提示する。除雪作業で斜面や標識などを削るリスクを低減できる。除雪作業の安全管理や施工確認の高度化に提案していく。

山岳部に積もった雪をブルドーザーで排雪して道を開通する工事を想定する。GNSSと慣性計測装置(IMU)で車両の位置と向きを測り、3次元(3D)の地形地図と重ねて表示する。3D地形は雪のない季節に飛行ロボット(ドローン)などで計測したデータを利用する。

ブルドーザーのブレードの端から斜面と地面までの最短距離をリアルタイムに計算する。垂直距離から積雪高さを見積もり、斜面までの水平距離は安全管理に利用する。GNSSの測量誤差は数センチメートルと小さい。車両間通信で互いの位置を共有でき、視界が悪くても接触事故を防げる。

山間部では冬の間は道路を封鎖し、春に除雪して開通させる道が少なくない。積雪量が20メートル以上になると一面が白く、目印のない状態で除雪することになる。するとガードレールや標識を雪と一緒に削ったり、斜面を固めたのり面を傷つけたりするリスクがあった。3D表示で確認できると安心でき、作業効率が向上する。

施工状況は遠隔で確認できる。現在はブルドーザーの稼働時間で報酬を計算している。排雪面積や排雪量で出来高を計算すると職人の腕を評価でき、技能研さんを奨励できる。

日刊工業新聞 2024年09月17日

編集部のおすすめ