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部品1万社へ発注大幅減…米ボーイングがスト突入、日本の航空機産業への影響度

部品1万社へ発注大幅減…米ボーイングがスト突入、日本の航空機産業への影響度

ボーイングは777などの部品メーカー約1万社を対象に部品発注を大幅に減らす方針(イメージ)

米ボーイングの従業員約3万3000人が加入する労働組合がストライキに突入した。対象は米西部ワシントン州の工場で、長期化すれば小型機「737MAX」や大型機「777」などの生産に影響する恐れがある。777は日本企業の生産分担比率が21%に上る。旅客機需要の回復で機体製造数が上向く見通しの中、国際共同開発に参画する三菱重工業川崎重工業など各社は状況を注視している。(八家宏太)

国際共同開発 リスク顕在化

ストに踏み切ったのは米ボーイングの従業員約3万3000人が加盟する国際機械工・航空機工労組(IAM)。2008年以来のストは現地時間13日0時から始まった。ストの対象は、米西部ワシントン州シアトル郊外などにある737MAX、767、777などの工場。一方、中型機「787」の工場の従業員は組合に加盟していないため、稼働を継続している。

同組合はボーイングと賃上げなどの交渉を実施していた。労働者は40%近くの賃上げなどを求めていたが、12日に組合執行部と会社は25%の賃上げなどを盛り込んだ労働協約に合意。組合執行部は組合員に協約への支持を求めたが、従業員の投票で協約の拒否とストが決定した。

過去のスト期間は08年は約2カ月、05年は約1カ月だった。今回のスト期間は未定だが、ボーイングは早期正常化を目指して交渉することに加え、現金流出を防ぐために737や767、777などの部品メーカー約1万社を対象に発注を大幅に減らす方針だ。

ストが長期化すれば、日本の航空機関連の生産への影響が懸念される。例えば、777は三菱重工が後部胴体・尾胴・出入口ドアを、川重が前・中部胴体パネルと主脚格納部、貨物扉を、SUBARU(スバル)は中央翼の製造を担当している。直近4―6月の777向け出荷機数は三菱重工が6機、川重は5機だ。

今回のストについて、米ゼネラル・エレクトリック(GE)と共同開発した777向けエンジン「GE90」などを手がけるIHIは「今のところ影響はない」としている。

機体構造物など世界の航空機生産の一翼を担う日本のサプライヤーだが、航空機メーカーの影響を受ける点があらためてリスク要因として顕在化しつつある。787の生産が継続されていることから、業界関係者の中には「現時点での影響は限定的ではないか」とする見方もあるが、リスク要因を見極めつつ、事業運営することが求められそうだ。

日刊工業新聞 2024年09月18日

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