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電流密度向上…阪大が設計、「有機太陽電池」向け新分子の価値

大阪大学の陣内青萌助教と家裕隆教授らは、有機太陽電池材料となる新しい有機半導体を開発した。光を吸収してプラスを帯びる部分とマイナスを帯びる部分が分かれるように有機分子を設計した。一つの成分だけで太陽電池として機能する。まだ発電効率などは小さいが、新しい材料設計指針になり得る。

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有機分子が光エネルギーを受け取ると、電子が最高被占軌道(HOMO)から最低空軌道(LUMO)に移る。このHOMOが集中する領域とLUMOが集中する領域が分かれるように有機分子を設計した。HOMO領域はプラス、LUMO領域はマイナスを帯びることになる。

光によって電子と正孔を生成しやすくなるため、従来材料よりも電流密度が向上した。また新材料のみで発電層を構成しても太陽電池として機能した。量子効率は3・6%。通常は電子を供給する材料と受け取る材料の2種類を混ぜて発電層を作る。量産性に優れた太陽電池につながる。

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日刊工業新聞 2024年09月16日

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