総務省は２０２５年に開かれる大阪・関西万博で、ゲリラ豪雨や線状降水帯を予測し、リアルタイムに配信する。フェーズドアレイ型気象レーダー２台で観測し、スーパーコンピューター「富岳」で３０分先の雨を予測する。レーダー２台でのリアルタイム予報は世界初という。予報は一般に伝えるほか、日本国際博覧会協会（万博協会）で防災・減災に活用する。

情報通信研究機構（ＮＩＣＴ）と大阪大学のフェーズドアレイ型レーダーで大気を観測し、データを圧縮して理化学研究所の富岳で降雨を予測する。３０秒ごとに３０分先まで降雨を予測し、スマートフォンアプリやホームページで配信する。ゲリラ豪雨などの情報をアプリにプッシュ通知で知らせる。来場者は屋内で雨が過ぎ去るのを待ったり施設側は収容人数を増やしたりと、柔軟に対応できるようになる。

富岳を利用するのは万博開催期間半年のうちの１カ月程度を想定する。２１年の東京五輪・パラリンピックでも同様の実証実験を行ったが、万博ではレーダーが２台体制になる。１台だと雨雲の陰の部分の観測精度が下がるが、２台だと死角を減らせ予報精度が向上する。

その分データ量が膨らむため、新しいデータ圧縮法を取り入れる。災害時の限られた通信環境でも予報を維持できることを実証する。万博は未来社会の実験場と位置付けられ、予測の難しいゲリラ豪雨に対応できれば気象予報研究の成果として発信できる。観測レーダーや計算資源、解析技術をセットで海外に売り込める。