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新型「iPhone」が起爆剤に!?AIスマホ普及拡大の時

新型「iPhone」が起爆剤に!?AIスマホ普及拡大の時

アイフォーン16シリーズには、AIの利用に適したチップを搭載(アイフォーン16プロモデル)

28年度出荷台数、全体の8割に拡大

人工知能(AI)を搭載したスマートフォン「AIスマホ」の普及が加速しそうだ。米アップルが9日(日本時間10日)に発表したスマホの新製品は、同社の生成AI「アップルインテリジェンス」に対応し、生成AIを円滑に使うための新たなチップを搭載した。写真の検索や文章作成などを簡単に行える。既に韓国サムスン電子や米グーグルがAIスマホを展開してきた。アップルもAIスマホを投入することで、同スマホの認知度が高まる見通しだ。(阿部未沙子)

アップルは、スマホの新製品「iPhone(アイフォーン)16」シリーズから標準モデルとプロモデルの合計4機種を20日に発売する。価格は消費税込みで12万4800円から。

新製品では、アップルインテリジェンスによって、スマホに保存した写真を素早く探したり、文章を送信相手に合わせて適切な表現に校正したりできる。ティム・クック最高経営責任者(CEO)は「アップルインテリジェンスのために、一から設計された初のアイフォーン」と話した。

新製品に搭載したチップは生成AIを円滑に使うための性能を持つ。具体的には標準モデルには「A18」、プロモデルには「A18プロ」と呼ばれるチップを搭載した。A18プロは従来の「A17プロ」と比べ、最大で15%高速にアップルインテリジェンスを使うことができるという。

ただ、アップルインテリジェンスの日本語対応は2025年を予定する。MM総研(東京都港区)の横田英明取締役副所長はアップルがAIスマホで他社に後れを取っていた点を踏まえ「多言語対応をできるだけ急ぐ必要がある」と指摘する。

AIスマホは各社が注力する分野だ。例えば、サムスン電子は「ギャラクシーS24」シリーズ、グーグルは「ピクセル8」シリーズを発売した。

MM総研によると、23年度のAIスマホの国内出荷台数は385万3000台で、スマホ全体の出荷台数に占める割合は15・1%だった。ただ28年度には、全体の88%を占める2317万台に達すると予測する。

AIスマホの出荷台数を調査するのはMM総研として初めて。横田取締役副所長は「AIスマホでできることが増え、利便性が高まるにつれて、AIに対応していない端末は売れにくくなっていくのではないか」とし、アイフォーンのAI対応により市場全体で「順調にAIスマホが伸びる」とみる。

米調査会社のIDCが1月に発表した調査によると、23年の世界のスマホ出荷台数ではアップルが首位の2億3000万台でサムスン電子を抜いた。アイフォーンのAI対応は、AIスマホの普及を後押ししそうだ。

日刊工業新聞 2024年09月12日

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