「世界最速の美術館」若手注目アーティストが車内を彩る
JR東日本、「現美新幹線」の内部を公開
JR東日本は11日、29日から運行を始める観光列車「現美新幹線」の内部を公開した。現美新幹線の「現美」は現代美術の略。秋田新幹線の「E3系」を改造した各車両を、若手の現代アート作家がプロデュースしている内装が最大の特徴だ。
各地で盛んに作られている観光列車だが、多くは鉄道の最大の魅力である、流れる車窓を楽しむというのがコンセプトになっている。現美新幹線は、ほとんどの車窓をアートで覆う設計で、外側を見ることはほとんどない。高速で移動しながらアートを鑑賞するという、これまでの観光列車の常識を打ち破るものだ。
E3系は、最高速度は240キロメートルまで出すことができるが、「車内を楽しむ時間を増やしたい」(菊池隆寛JR東日本車両技術センター次長)とのことで、210キロメートルで走行する。それでも、通路にわずかに残る車窓から見る風景は、高速で過ぎていく。
外観は、写真家で映画監督の蜷川実花氏が撮影した「長岡の花火」の写真を車体にラッピング。新潟の夏の風物詩となっている、夜空に広がる長岡の花火が車両全体を彩る。夜空がベースとなっている黒い車体が、現代アートの洗練されたイメージとマッチしている。
6両編成の各車両には、7組の若手現代アーティストのアート作品が、独自の世界観を作り上げている。7組は絵画や彫刻、写真、映像など、さまざまな分野で注目される新進気鋭のアーティスト。各車両ごとに、全く異なる世界が広がっているため、車両を移る度にわくわくするのも、現美新幹線の魅力だ。
先頭車両となる11号車を担当した絵画の松本尚さんは、「動く空間をプロデュースしたのは初めてだった」と話す。11号車は指定席となっていて、車両のシートやカーテンをそのまま生かしたアートワークになっている。
松本さんがテーマとしたのは、米どころ新潟の「五穀豊穣」、「祝祭」、「光」。「列車はギャラリーや美術館と違って、光が燦々と差し、トンネルに入れば光はなくなるので、光と影を動的に表現したいと思った」と、デザインの狙いを話す。
最も大変だったのは、カーテン、シート、カーペットと、異なるプロダクトをアートワークとして成立させることだったという。カーテンは織物、シートはプリントしたもので、作り方が全く異なり、制作するメーカーも異なる。
松本さんと各メーカーは1年前から制作に取り組み、カーテンは糸の染色の過程から、シートやカーペットはアトリエに実際に置いてみて、縫製の位置やデザイン、サイズ感などを確認した。
「メーカーのみなさんは、現代美術をよく知らないというという方がほとんどだったが、アートに敬意を払ってくれた。新鮮な体験だった」と振り返る。
このほか、12号車は小牟田悠介さんがミラータイルを壁面に飾った空間を作り、13号車のカフェスペースは古武家賢太郎さんが、旧道「三国街道」を表現。プラレールで遊べるキッズスペースは、アートユニットのparamodelさん、14号車は写真家の石川直樹さん、15号車は荒神明香さん、16号車はブライアン・アルフレッドさんが、独自のアートを展開している。
車内では現代アートのほか、燕三条で人気の「ツバメコーヒー」や、魚沼産米粉のバニラケーキや佐渡バターフィナンシェなど、新潟の地元の素材を使ったスイーツ、地ビールなどが楽しめる。菊池次長は「新潟に来てもらうことも目的なので、新潟らしさを意識した」と話す。
JR東日本では、29日から5月8日、5月14日から6月26日までの土日を中心に、臨時の「とき」として、上越新幹線の越後湯沢-新潟間を1日3往復運行する。この間、11号車は一般発売のきっぷで乗車が可能で、12-16号車は、旅行商品として発売。旅行代金は、大人が往復で4200-5900円、子供が3200-4000円となる。
7月以降は、12-16号車は自由席として発売し、気軽に乗れるようにする予定だ。
観光列車の常識破る
各地で盛んに作られている観光列車だが、多くは鉄道の最大の魅力である、流れる車窓を楽しむというのがコンセプトになっている。現美新幹線は、ほとんどの車窓をアートで覆う設計で、外側を見ることはほとんどない。高速で移動しながらアートを鑑賞するという、これまでの観光列車の常識を打ち破るものだ。
E3系は、最高速度は240キロメートルまで出すことができるが、「車内を楽しむ時間を増やしたい」(菊池隆寛JR東日本車両技術センター次長)とのことで、210キロメートルで走行する。それでも、通路にわずかに残る車窓から見る風景は、高速で過ぎていく。
外観は、写真家で映画監督の蜷川実花氏が撮影した「長岡の花火」の写真を車体にラッピング。新潟の夏の風物詩となっている、夜空に広がる長岡の花火が車両全体を彩る。夜空がベースとなっている黒い車体が、現代アートの洗練されたイメージとマッチしている。
6両編成の各車両には、7組の若手現代アーティストのアート作品が、独自の世界観を作り上げている。7組は絵画や彫刻、写真、映像など、さまざまな分野で注目される新進気鋭のアーティスト。各車両ごとに、全く異なる世界が広がっているため、車両を移る度にわくわくするのも、現美新幹線の魅力だ。
先頭車両となる11号車を担当した絵画の松本尚さんは、「動く空間をプロデュースしたのは初めてだった」と話す。11号車は指定席となっていて、車両のシートやカーテンをそのまま生かしたアートワークになっている。
新潟らしさを前面に
松本さんがテーマとしたのは、米どころ新潟の「五穀豊穣」、「祝祭」、「光」。「列車はギャラリーや美術館と違って、光が燦々と差し、トンネルに入れば光はなくなるので、光と影を動的に表現したいと思った」と、デザインの狙いを話す。
最も大変だったのは、カーテン、シート、カーペットと、異なるプロダクトをアートワークとして成立させることだったという。カーテンは織物、シートはプリントしたもので、作り方が全く異なり、制作するメーカーも異なる。
松本さんと各メーカーは1年前から制作に取り組み、カーテンは糸の染色の過程から、シートやカーペットはアトリエに実際に置いてみて、縫製の位置やデザイン、サイズ感などを確認した。
「メーカーのみなさんは、現代美術をよく知らないというという方がほとんどだったが、アートに敬意を払ってくれた。新鮮な体験だった」と振り返る。
このほか、12号車は小牟田悠介さんがミラータイルを壁面に飾った空間を作り、13号車のカフェスペースは古武家賢太郎さんが、旧道「三国街道」を表現。プラレールで遊べるキッズスペースは、アートユニットのparamodelさん、14号車は写真家の石川直樹さん、15号車は荒神明香さん、16号車はブライアン・アルフレッドさんが、独自のアートを展開している。
7月から自由席発売
車内では現代アートのほか、燕三条で人気の「ツバメコーヒー」や、魚沼産米粉のバニラケーキや佐渡バターフィナンシェなど、新潟の地元の素材を使ったスイーツ、地ビールなどが楽しめる。菊池次長は「新潟に来てもらうことも目的なので、新潟らしさを意識した」と話す。
JR東日本では、29日から5月8日、5月14日から6月26日までの土日を中心に、臨時の「とき」として、上越新幹線の越後湯沢-新潟間を1日3往復運行する。この間、11号車は一般発売のきっぷで乗車が可能で、12-16号車は、旅行商品として発売。旅行代金は、大人が往復で4200-5900円、子供が3200-4000円となる。
7月以降は、12-16号車は自由席として発売し、気軽に乗れるようにする予定だ。
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