容量132kW…日機装が実用化にメド、「液体アンモニア用ポンプ」の性能
日機装はモーター容量132キロワットの液体アンモニア用ポンプの実用化にめどを付けた。液体アンモニアに液温が近い液化石油ガス(LPG)の送液試験を行い、液体特性に対するポンプの健全性などを確認した。同ポンプはモーターとポンプを一体化したキャンドモーターを採用しており、同モーターを使ったアンモニアポンプとして世界最大級のポンプによる試験成功という。これを踏まえて同ポンプを2026年にも火力発電向けに市場投入する。
液体アンモニアは燃焼時に二酸化炭素(CO2)を排出しない脱炭素燃料として注目される。国内では27年度にも火力発電所で20%のアンモニアを混ぜた商業運転の計画がある。
そのため日機装は液体アンモニア用ポンプで、今回試験成功した規模の大型タイプの市場投入を計画するほか、モーター容量250キロワット規模で、さらに大型化が必要なアンモニア基地のプレストレストコンクリート(PC)タンク向けポンプの開発にも取り組む。
今回のLPG性能試験は、マイナス33度Cの液体アンモニアと温度帯が近いマイナス42度CのLPGを使って実施した。より実機に近い形状や腐食対策を施したポンプで、液体アンモニアでの運転環境に近い状態で試験し、実際の運転時に近似したデータを取得でき、液体特性に対するポンプの性能などを確認した。
液体アンモニアは新たな発電燃料や水素キャリアとしての用途が期待される。火力発電所やアンモニア基地におけるアンモニア貯蔵タンクでは大規模な移送が必要とされ、ポンプの大型化が求められている。
同社は液化天然ガス(LNG)基地などでの大量輸送に使うクライオジェニックポンプの技術を取り入れて大型化し、ポンプとモーターをタンク内に入れて液体アンモニアのタンク外部への漏えいを防ぐ液体アンモニア用ポンプを開発した。