「自動フォークで荷役作業」日本初の実用化、花王が労働力不足を解消へ
花王は自動運転フォークリフト(AGF)によるトラックへの積み込み(荷役)作業を実用化する。同社によると日本初の試みで、10月から豊橋工場(愛知県豊橋市)で本格稼働する予定という。業務効率の向上や労働力不足の解消に役立てていく。モデルケースとして他工場にも広げたい考えだ。(阿部俊介)
豊橋工場は少量多品種のヘアケアやスキンケア製品を生産している。2023年3月に次世代倉庫を設け、製品入庫から仕分け、出荷までを自動化した。だが、フォークリフトによるトラックへの積み込み作業は自動化できていなかった。
今回、次世代倉庫の出荷バース3カ所のうち1カ所に、豊田自動織機製の「トラック荷役対応自動運転フォークリフト」を2台導入した。導入に際し、倉庫の設計段階から豊田自動織機と協議してロボットが働きやすい環境を整備した。さらにトラック荷役以外の全ての作業とオペレーションを完全自動化し、トラック輸送に対応した実用的な業務プロセスを構築。高性能センサー「LiDAR(ライダー)」や人工知能(AI)画像認識機能などを備えた最先端のAGFを使用することで自動化を実現した。
作業時間は人手によるものとほぼ同じ。花王ロジスティクスセンターロジスティクス改革部の徳山尚昭氏は「運送会社も含めて全員がウィンウィンになれる実用化を目指した」と胸を張る。自動化はヒューマンエラーの防止や稼働率の向上と安定化に寄与し、トラック運転手の労働時間削減にもつながる。今後は精度や安定性を高めるとともに、全ての出荷バースへの導入を目指すという。
現状、トラック運転手と同様に、フォークリフトの乗り手不足も深刻だ。倉庫内での自動化はAGFや自律走行搬送ロボット(AMR)導入によって進展している。だが、今回のようなトラックへの荷役作業の自動化は技術的なハードルが高いと言われている。