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日本の「空気感」…野村総研がSNSから指数化してわかったこと

野村総合研究所(NRI)はインターネットを飛び交う会員制交流サイト(SNS)「X(旧ツイッター)」への書き込み情報を基に、生活者や社会の感情の状態を指数化した「日本の空気感指数」を属性別に指数化できるようにした。

GW前後の「疲れ」を就労状況別に分析

空気感を指数化する方法は筑波大学の佐野幸恵准教授との共同研究をベースに2022年から開発している。今回、SNS最大手の「X」の仕様変更に伴ってデータソースを見直し、各指標の属性別算出を可能とした。空気感指数は活気、混乱、落ち込み、怒り、不安、疲れ、平穏の七つで構成。属性別では年代、地域に加え、就労状況別でも集計した。

指数の値が大きく変化するタイミングは、当該指標に関連する大きな出来事がある場合が多く、政策検討や経済予測、マーケティング戦略などへの活用を目指す。

例えば、不安指標においては自然災害の影響を受けることが多く、1月の能登半島地震で不安が大きく高まっていたことが指数上でも浮き彫りとなった。不安指数をみると、23年5月に発生した能登群発地震ですでに不安が高まっており、24年1月の地震で不安感が一気に増幅。23年以降では最も空気感を変えた出来事だったことが分かった。

就労状況別では疲れに関する状況などが分かる。5月のゴールデンウイーク(GW)が終わる前後の疲れ指標を就労状況別に分析したところ、GWの直前と終了の比較において就労者の疲れ指標の上昇率がほぼ2倍の水準になっていたのに対し、非就労者ではマイナス36%と減少した。GW終了に伴い、就労者は仕事に戻ることで疲れを感じるのに対し、非就労者の場合はむしろ、GW期間中の方が疲れを感じていたことが指数として確認された。

日刊工業新聞 2024年09月03日

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