車載半導体向け需要狙うニコン、露光装置で攻勢かける
ニコンは2026年度までに半導体露光装置3機種を相次いで市場投入する。最先端の半導体分野では極端紫外線(EUV)露光装置を手がける蘭ASMLが独占するが、EUVに比べて解像性の低い装置もメモリーや車載向けなど幅広い分野で需要が強まっている。ニコンは24年中に計3機種投入するが、さらに露光の波長別にフッ化アルゴン(ArF)ドライ、フッ化クリプトン(KrF)、i線の3機種の装置を投入。ラインアップを拡充し競合を追撃する。
26年度までに投入する新型ArFドライ露光装置は、生産性を高めてスループット(時間当たりの処理能力)を向上。さらにASMLに対して価格競争力を持つ製品にする方針だ。
一方、新型のKrF露光装置とi線露光装置は、300ミリメートルと200ミリメートルの両方のウエハーに対応できる装置をそれぞれ製品化する方向。KrFやi線はパワー半導体やアナログ半導体など最先端の露光技術が必要とされない領域で需要が拡大している。これらの半導体の製造工程では300ミリメートルウエハーだけでなく、200ミリメートルウエハーも使われるため、両ウエハーに対応する装置にすることでシェア拡大を狙う。
これまでニコンの露光装置は米インテル向けが中心で、インテルの業績次第で販売数が変動する課題があった。そこで近年は中国などで新規顧客を開拓し“インテル依存”からの脱却を進めてきた。新型装置の投入などにより、26年3月期までにインテル以外の販売比率を50%以上に引き上げる。加えて、同期には同装置などの精機事業の売上高を2250億円超に伸ばす計画だ。
半導体露光装置はEUVを手がけるASMLが世界シェアでトップに位置する。一方、キヤノンは非最先端のKrFやi線で高いシェアを持つ。ニコンは24年内にArF液浸とi線の装置を計3機種投入する計画だが、さらにラインアップを追加して巻き返す。
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