大王製紙・北越コーポ、物流で協業加速…シナジー最大化なるか
大王製紙と北越コーポレーションが物流面での協業を本格化する。両社が持つ鉄道コンテナやトラックを相互活用。紙製品の輸送を効率化し、コスト削減につなげる狙いがある。両社は5月に物流、生産、調達の3分野で業務提携しており、これらの取り組みはこの一環となる。国内で紙の内需が先細る中、相互の強みを補完し競争力を高めたい考え。シナジーを最大化できるかが焦点だ。
大王製紙は早ければ下期にも、北越が保有する鉄道コンテナを利用した紙製品の輸送を始める。北越が同社新潟工場(新潟市東区)で生産した製品を鉄道コンテナで関西圏に供給した後、大王製紙三島工場(愛媛県四国中央市)の製品を同コンテナに積み込み、新潟エリアに輸送する。
一方、北越コーポレーションは大王製紙のトラックを活用した紙製品のラウンド輸送を開始。大王製紙が同社可児工場(岐阜県可児市)で生産した紙製品を新潟・北陸地区に納めた後、北越の新潟工場で生産した製品を載せ、中部地区の顧客に輸送する。
両社は5月に業務提携し、両社社長を委員長とする「業務提携委員会」を設置した。物流、生産、調達の3分野における各種取り組みの進捗(しんちょく)や効果について定期的に分析するとともに、活動テーマの追加や変更といった意思決定を行う方針だ。
今後、生産面では生産技術に関する情報共有や相互OEM(相手先ブランド生産)などを検討するほか、調達面では両社の調達先から木材チップの相互融通などを進めたい考えを示す。26年度に大王製紙が20億円、北越で30億円程度の営業利益の上積みを目指す上で、両社の強みを生かし、各分野の戦略をいかに具体化・実行できるかが問われる。
日刊工業新聞 2024年09月02日