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月産100トン…車エンジン部品の新工場、ダイヤメットがインドに開設する狙い

月産100トン…車エンジン部品の新工場、ダイヤメットがインドに開設する狙い

ダイヤメットが新工場として賃借予定の建屋(インド・ハリヤナ州)

ダイヤメット(新潟市東区、伊井浩社長)は、インドのハリヤナ州マネサールに自動車用エンジンの部品などを生産する工場を新設する。インドでは日系の車メーカーが4輪車の生産拡大を計画しており、今後もエンジン部品の需要が高まると判断した。新工場の生産能力は月100トン。2026年4月の本稼働を目指す。投資額は11億円。

新工場の立地はスズキ傘下のマルチ・スズキ・インディア(ニューデリー)の工場や日系自動車部品メーカーの工場から近い。大型・小型の2本の生産ラインを設置し、オイルポンプ用のインナーローター・アウターローターや、スプロケット(歯車)などを生産する。建屋は賃借で、敷地面積は約1万平方メートル、建築面積は約7000平方メートル。12月に現地法人を立ち上げて賃借契約を結び、内装工事や設備の導入などを進め、26年4月から量産を始める。

設備は現地メーカーまたは現地にサービス拠点を持つ欧州メーカーから購入する。従業員は日本から1―2人常駐させ、現地で約30人を新規採用する。

現在、ダイヤメットはマレーシアの工場からマルチ・スズキに部品を供給している。新工場ではまずマレーシアからの輸出分をインド国内の生産に切り替える。並行して現地の日系ティア1(1次取引先)メーカーなどに拡販し、30年度には売上高を現在のインド向けの約3倍に引き上げる。マレーシア工場では東南アジア諸国連合(ASEAN)への輸出を増やし、生産量の減少をカバーする。

ダイヤメットは粉末冶金を得意とし、車用の焼結部品を製造する。日本や中国では電気自動車(EV)シフトに伴い市場の縮小が見込まれる。伊井社長は「インドのガソリン車の市場は魅力的。同業他社が少なく、もともと日系メーカーと取引がある点でも参入しやすい」とみる。

インドではスズキが30年度までに4輪車の生産能力を約400万台に引き上げる計画。トヨタ自動車も新工場の竣工を予定する。


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日刊工業新聞 2024年08月20日

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