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ENEOS・コスモ・出光…石油元売り3社の4―6月期、増益基調の背景

石油元売り3社の2024年4―6月期は、原油価格の上昇によるマージン改善や円安による在庫評価益増で増益基調。ただ通期の油価や為替が読めないことから3社とも通期見通しは変えない。

ENEOSホールディングス(HD)は、実力を示す在庫影響を除く営業利益が前年同期比118億円減の1131億円。前年にチリのカセロネス鉱山売却に伴う一過性利益があったためで、この影響を除くと前年並み。在庫影響は377億円のプラス(前年同期は309億円のマイナス)。燃料油のマージンは1リットル当たり5円弱改善し「円安や油価高で順調に推移している」(田中聡一郎副社長)。24年度中にカセロネス鉱山の株式19%の追加売却や子会社のタンカー売却を行い、売却益は成長投資と株主還元に振り向け資産効率向上を進める。

コスモエネルギーHDの4―6月期は在庫評価を除く当期利益が前年同期比52億円増の186億円。同期の在庫影響は87億円のプラス(同171億円のマイナス)。燃料油マージンも5円改善した。「順調な滑り出し」(岩井智樹常務執行役員)だが、洋上風力発電事業で第3ラウンドの入札見送りを決めたため、調査費など53億円の特別損失を計上した。ただ洋上風力事業の撤退ではなく、まずは足元の陸上風力事業に注力した上で再検討する。

出光興産の在庫影響は480億円のプラス(同47億円のマイナス)。

4―6月期の事業環境は油価がENEOSHDとコスモが1バレル=85ドル、出光が同85・3ドル。為替は出光が1ドル=155円90銭、ENEOSHDとコスモが同156円。

日刊工業新聞 2024年08月12日

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