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多摩都市モノレール「7km延伸」申請…武蔵村山市、初の「駅」に期待高まる

多摩都市モノレール「7km延伸」申請…武蔵村山市、初の「駅」に期待高まる

30年代半ばの延伸開業を目指す多摩都市モノレール

多摩都市モノレール(東京都立川市、奥山宏二社長)は、多摩モノレール延伸の軌道事業特許を国土交通相に申請した。2030年代半ばの開業を目指し、事業化に向け手続きを進めた。都市計画手続きも並行して行われており、新駅の駅名は特許取得以降に検討を始める予定だ。延伸区間の周辺には製造業の集積する工業地域があり、新たな産業地づくりを見据えた土地利用を計画している自治体もある。(多摩・藤野吉弘)

申請した延伸区間は既存終点駅がある同東大和市から同武蔵村山市を経由し、JR八高線箱根ケ崎駅のある同瑞穂町に至る約7キロメートル。延伸区間に七つの新駅を計画。現在、都内の区や市で唯一鉄道駅がない武蔵村山市に五つの新駅建設を予定しており、同市待望の延伸計画だ。

武蔵村山市には日産自動車村山工場跡地周辺の工業地域に金属部品加工や表面処理、精密機器製造などさまざまな業種の企業・工場が集積している。モノレール延伸についてある中小企業経営者は「直接的な恩恵はないが、従業員の通勤や人材確保面ではプラス要素」と評価する。

瑞穂町では新駅予定地に近接する東部地区の南部に金属加工や精密部品製造などの企業が集積する。同町の「瑞穂町都市計画マスタープラン」では、同地域の土地区画整理事業とともに企業誘致を図り、新たな産業拠点の形成を進める考えだ。同町の中小企業経営者からは「間違いなく地域活性化は進む」と期待の声が上がる。

さらに、モノレールの既存区間には大学と近接した駅が複数ある。延伸区間周辺の企業にとっては、将来の産学連携やインターンシップ(就業体験)受け入れにもメリットがある。

今回の申請で施設建設については、支柱や駅舎など構造部分を東京都が、車両や電車線といった運行・経営に必要な部分を多摩都市モノレールが行う。建設費総額は約1290億円(消費税込み)を予定している。

日刊工業新聞 2024年08月09日

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