住友化学は黒字転換…総合化学5社、4―6月期決算の全容
総合化学5社の2024年4―6月期連結決算が6日出そろい、3社が当期増益となった。住友化学は当期損益が黒字転換。三菱ケミカルグループは当期減益だったが、本業の利益を示すコア営業利益が伸びた。各社は石油化学関連の業績が改善したほか、半導体材料関連などが伸長。一方で円安効果が業績を後押しした側面がある。足元で円高に振れる動きを注視するなど、各社は通期予想を据え置く。
三井化学の24年4―6月期のコア営業利益は前年同期比44・1%増の301億円。自動車向けなどが伸びた。
半導体材料関連が伸長する動きが目立つ。住友化学の情報電子化学部門は、コア営業利益が同2・8倍の185億円と過去最高を更新した。旭化成もデジタルソリューション事業が伸びた。三菱ケミカルグループはディスプレー関連や半導体関連が堅調だった。
各社の石化関連事業も業績が改善した。旭化成や三井化学が、交易条件の改善などで黒字化した。三井化学の中島一代表取締役専務執行役員は「値上げの効果が出てきている」と分析する。三菱ケミカルグループはプラントトラブルの影響がなかった点などが寄与した。東ソーも石化事業が伸び、クロル・アルカリ事業の営業損益が黒字転換した。
一方、住友化学は医薬品事業が合理化などでコア営業損益が5億円の赤字(前年同期は333億円の赤字)と大幅に改善した。
25年3月期連結業績予想は、4―6月期が円安効果による増益要因があったため、各社が直近の円高に振れる動きなどを注視する。三井化学はエチレンプラントの生産再開の延期について損失の圧縮などを含め、影響を精査中とした。
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日刊工業新聞 2024年08月07日