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特色分野ごとに私大群、東京理科大「地域中核」申請の狙い

特色分野ごとに私大群、東京理科大「地域中核」申請の狙い

国際卓越からJ-PEAKSに応募先を転換した東京理科大(神楽坂キャンパス、東京都新宿区)

東京理科大学は5日、宇宙や防災、未来医療など同大の研究特色分野ごとに他大学と組み、私立大学の連携大学群を構築する計画を発表した。第1弾となる東京慈恵会医科大学との医理工薬連携で、文部科学省の第2回「地域中核・特色ある研究大学強化促進事業」(J―PEAKS)に申請した。2023年は「国際卓越研究大学」の事業に応募したが、立ち位置を“私大コンソーシアムのハブ”に変え、公募事業の応募先も転換した。

J―PEAKSと国際卓越大は、日本の大学の研究力強化に向けた大型事業。同時支援は受けられないが、J―PEAKSの支援で成長した後に国際卓越大へ、という道筋が理想の一つとされる。初回の国際卓越大の応募は10大学で、私立は早稲田大学と東京理科大のみ。東京理科大はトップクラスの理工系私立大学で学生2万人と大規模なため、23年時点での研究力強化は単独で計画していた。

発表した「TUS SciTech構想」は、東京理科大の強みとなる先端分野ごとに、他大学・機関と強く連携することで、日本で最も多様に理工系分野を網羅することを狙う。ともに31年に創立150周年を迎える東京慈恵会医大とは、13年に連携協定を結んで学生の教育や共同研究を手がけてきた。今回、事務・技術職員や研究支援人材の交流、「TUS―JIKEI連携ラボ」設置による異分野との研究強化を実施。別法人のまま、踏み込んで双方の強みと弱みに対応する形にする。

J―PEAKSの第2回公募は7月後半に締め切られた。石川正俊東京理科大学長は「23年の案をブラッシュアップした以上の内容となっている」と強調した。

日刊工業新聞 2024年08月06日
山本佳世子
山本佳世子 Yamamoto Kayoko 編集局科学技術部 論説委員兼編集委員
本件のリリースで、「これはニュースだ!」と思ったのは、最後に記載されていた(というか、欄外に*で出ていました)、「地域中核の事業(J-PEAKS)に慈恵医大を連携大学として申請しました」という内容でした。国際卓越研究大学への初回申請&不採択の9大学のうち、大半が2回目も申請すると表明しており、その中で「東京理科大はどうなのだろう」と気になっていたためです。大学間の連携は単位互換をはじめ近年では、物品の共同購入や教職員の合同研修などで進んでいます。ですが研究は今なお、現場の教員間のネットワークによる共同研究が中心です。研究者の学術的関心に基づく活動ですから、それがもっともだという面もあります。対して今回は、東京理科大が研究面でも経営面でも、他の私立大学と強く連携してWinWinにしようという提案です。石川学長からは「国際卓越大学の仕組みでできないことはないのですが、やりにくいしスピード感が必要なので、当面はJ-Peaksで行くことにします」とのコメントをいただきました。

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