セブン&アイの鈴木会長。創業家を名指した異例のゴタゴタ人事会見

<追記あり>コーポレートガバナンス不在と言われても仕方がない

  • 0
  • 0
会見の席で退任の発表をする鈴木セブン&アイ・ホールディングス代表取締役会長兼CEO
 セブン&アイ・ホールディングス(HD)の鈴木敏文会長は突然の引退表明のなかで、社内における人事を巡るゴタゴタについて「私の不徳の致すところ」と吐露。コンビニエンスストアを流通業の主役に押し上げ、セブン&アイHDを最強の流通グループに育てた功労者も、自らが主導してきた長期政権に限界を感じ、今が引き際と判断したのかもしれない。

 鈴木会長はセブン―イレブンの商品開発も最終決済も行っていたように、自身に依存する組織を自ら作り上げたといえなくない。これまではそれもうまく回っていたといえる。鈴木会長は会見で、セブン―イレブンの井阪社長がいったんは受け入れた社長交代の人事案に対し、「私はこれもやった」などと功績を並べ、受けられないとしてきたという。

 米投資家のダニエル・ローブ氏が率いる米投資ファンドのサード・ポイントが、今回の人事を巡り書簡を送り、世襲に対する懸念を示すといった外部要因も加わった。

 「経営は鈴木(会長)に任せている」といっていた伊藤雅俊名誉会長も、今回のセブン―イレブンのトップ人事は反対に回るなど、従来のような関係ではなくなっていた。

 伊藤名誉会長を含めた創業家はセブン&アイHD株式の約10%を保有する大株主だが、鈴木会長は「経営に大きく影響するようではない」とし、「(今回の人事は)伊藤家の意向もあった」と明かした。「伊藤家とは今まで良好な関係だったが、ここに来て急きょ変わった。世代が変わった」と、環境の激変に思いを馳せた。

日刊工業新聞2016年4月8日

COMMENT

安東泰志
ニューホライズンキャピタル
会長

原理原則論から整理してみたい。まず、取締役会は株主を代理しており、株主利益を損なう意思決定をすると善管注意義務違反となる。また取締役、特に取締役の最大の役割はトップの解選任にあるとされており、従って、指名委員会等設置会社はもちろん、セブン&アイのような監査役会設置会社でも任意で指名報酬委員会を設置しているケースが増えてきた。ただし、会社法上の指名委員会は、社外取締役が過半数であるのに対し、セブン&アイの場合は社外と社内が同数であるし、諮問機関に過ぎない。鈴木会長の人事案は、指名報酬委員会で社外取締役の同意が得られないのに取締役会に上程したもの。また、それが通らなかったら辞任を口にしつつ記者会見で不満をぶち上げるのでは、コーポレートガバナンス不在と言われても仕方ない。

関連する記事はこちら

特集