能登復興支援で新事業創出。北陸先端大、地方創生イベント
2000人参加、産産学官連携 被災企業ニーズ調査
北陸先端科学技術大学院大学が中心に進める地方創生イベント「マッチングハブ」が10年を経て、さらに機能を拡大中だ。産学官連携の展示会は一般に出展者が別の来訪者にアピールするが、ここは出展者同士をつなぐことで産産連携も多い。1回約200ブースで平均2件が具体的な展開へ進むヒット率で、北陸を中心に全国展開が進んでいる。同大は2月に能登復興のタスクフォースを設立。2024年秋は被災企業のニーズに対応した新事業創出を掲げ、2日で延べ2000人の参加を計画している。
北陸先端大は4月から過去に出展した能登地域の25企業・機関で、復興に向けた新事業などのニーズ調査を開始した。北陸を中心とした全国1200企業・機関の同大データベースやネットワークを活用し、11月の「マッチングハブ北陸2024」につなげる。復興支援では石川県産業創出支援機構(ISICO)のファンドへの応募を後押ししたほか、伝統工芸関連の図案デザインアーカイブ化などにも取り組む計画だ。
土台となるマッチングハブは14年度開始で、同大のコーディネーター(CD)やリサーチアドミニストレーター(URA)が、地元企業のニーズやシーズを聞いて企業同士を含む産学官公金をつなぐのが特徴だ。URAらはイベントで相乗効果がありそうな組み合わせをブースで隣接させたり、出展者同士を紹介したり、人材採用に注力する企業ブースを学生のポスター会場近くに配置したり。出展者2人なら1人が情報収集に出られるよう促し、マッチング成功率を高めている。
16年の熊本地震では、復興支援として熊本大にこのノウハウを伝授し、同ハブを地元で開催。これを機に他地域へ広がり現在、開催地は全国5カ所ほどに広がっている。
また20年度に北陸産業活性化センターの事業で、経済産業省の「産学融合先導モデル拠点創出プログラム」に採択された「北陸RDX」との連携をスタート。以前は北陸3県のつながりは弱かったがこれにより富山、石川、福井県の4国立大が関わるスタートアップ創出の「TeSH」も動き出した。
産学官連携の活動は中心大学の技術シーズにこだわることが多い。対して同ハブは、地方大学がより緩やかな地方創生を意識して、成果を挙げる例として注目されそうだ。