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沖縄電は赤字…電力10社の4―6月期、8社当期減益の理由

電力大手10社の2024年4―6月期連結決算は、当期損益が四国電力のみ増益、沖縄電力は赤字、残りの8社が減益となった。LNG(液化天然ガス)など燃料価格が安定局面にあったため、燃料価格の変動分を電気料金に反映させるまでの期ずれによる差益が、前年同期と比べて縮小したのが要因。25年3月期は沖縄電のみ増益、柏崎刈羽原発の再稼働時期が見通せないため未定としている東京電力ホールディングス(HD)以外の8社が減益を見込む。

燃料費調整額は3カ月間の燃料価格を算定し、2カ月後の電気料金に反映される。例えば7月の電気料金は2―4月の貿易統計単価に基づき算出する。23年4―6月期は燃料価格が下降局面にあったため、燃料費の支払いタイミングと燃料費調整額が電気料金収入に反映される期ずれの差益が大きく利益を押し上げていた。23年夏以降は燃料価格は安定しているため、24年4―6月期の期ずれ差益は減少している。

各社とも前年度の利益が極端に高いため減益幅も大きくなるが、東北電力や中部電力、九州電力などで4―6月期としては2番目の利益水準。中部電の林欣吾社長は「本業での稼ぐ力がある程度ついてきた。リスクマネジメントを一層強化し利益を確保したい」とする。東電HDの山口裕之副社長も「期ずれ影響を除くと昨年と同レベルの決算だが、さらに収益力をつけないといけない」とした。

一方、原発の稼働状況で決算は大きく振れる。四国電は伊方原発3号機がフル稼働、発電電力量が前年同期の2・7倍となり卸電力販売量が増加した。その結果、当期利益が前年同期の2倍になるなど最高決算だった。ただ同機が定期検査に入ったため7―9月期は利益の押し下げ要因となる。

関西電力は原発7機の再稼働で原子力利用率が前年同期比16・4ポイント増の94・7%まで上がった。ただ期ずれ差益の縮小の影響の方が大きかった。

九電も定期検査に伴う稼働減で、原子力利用率は同6・4ポイント減の79・2で減益要因となった。

日刊工業新聞 2024年08月02日

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