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強度保持率2倍…ダイセル・阪大がSiC半導体長寿命化、銀・シリコンで接合材料

強度保持率2倍…ダイセル・阪大がSiC半導体長寿命化、銀・シリコンで接合材料

熱衝撃試験で1000サイクル後の構造内部の劣化比較

ダイセルと大阪大学産業科学研究所フレキシブル3D実装協働研究所の陳伝彤特任准教授らは、銀とシリコンの複合焼結材料を開発した。銀のみを使う従来の材料と比較し、熱衝撃試験後の強度保持率が約2倍を達成した。また銀のみの接合材料と比べ、シリコンを加えることで材料コストの削減につながる。炭化ケイ素(SiC)パワー半導体の長寿命化や実装構造の信頼性向上などにつながるとみて、早期の製品化を目指す。

複合焼結材料は、SiCパワー半導体モジュール構造の中でSiC半導体とDBC基板(銅回路付きセラミック基板)の接合などで使う。開発した材料は銀のみを使う従来材料と比べ、マイナス50度C―プラス250度Cで1000サイクルする熱衝撃試験で約2倍の強度保持率を達成した。接合界面の亀裂や構造破壊が起こりにくくなる。

また、銀材料は一般的には250度Cの加圧方式で焼結するが、新材料は200度Cから無加圧焼結することも可能といい、製造コストの削減への貢献も見込める。共同研究ではダイセルが銀粒子と有機溶剤の検討などの材料開発、大阪大は初期接合条件の検討など信頼性の評価を担当した。


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日刊工業新聞 2024年08月01日

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