手術支援ロボット「ダビンチ」、2例目の保険適用―日本発ロボットの登場は?
腹腔鏡下腎部分切除術、患者負担を軽減
ロボットによる腹腔鏡下腎部分切除術が保険適用された。前立腺全摘除術には保険適用されていたが、今回2例目の保険適用となった。2014年から評価療養(先進医療B)として実施されてきていたため、保険適用により患者負担が減る。この術式に対して実際に使用できるロボットは、米インテュイティブサージカルの「da Vinci(ダビンチ)サージカルシステム」のみ。日本医療研究開発機構(AMED)をはじめ、同様に使用できるロボットの開発も進んでいる。
ダビンチサージカルシステムを使い、拡大視した3次元(3D)画像を医師が見ながら自由度の高い鉗子(かんし)で腎の切除と縫合をする。2次元画像の従来の腹腔鏡手術に比べて奥行きの感覚が得やすく、鉗子の自由度も高いために、腎の過剰な切除や縫合時間が長くなるのを防げる。これにより腎機能を最大限に温存できる。
日本泌尿器科学会の藤沢正人理事長(神戸大学医学部附属病院長)は「低侵襲、がんの根治性、腎機能温存を同時に実現しうる有用な術式として普及すると考えられる」とした。
先進医療は保険外併用療養費制度の評価療養の一つで、保険診療と保険外診療を同時に行える医療。患者は保険外部分は全額自己負担になる。これが保険適用されたことで、患者の自己負担分は通常の保険診療部分のみとなるため、自己負担が少なくなる。
医療機器の普及を産業政策として見た時の課題は、現在これに使用できるロボットがダビンチサージカルシステムしかない点。医師は本来、患者を低侵襲で効果よくかつ自分も扱いやすく治療できる機器や器具を求める。その意味では、製品が米企業でも日本企業でも関係はない。
これに対し、日本政府の健康医療分野の研究開発資金配分機関、AMEDは経済産業省の予算により「未来医療を実現する医療機器・システム研究開発事業」として、ダビンチサージカルシステムに匹敵するロボットの開発を支援している。同サージカルシステムと同じコンセプトで開発しても時間差は埋めにくい。
「ダビンチは硬性内視鏡を使うが、我々は軟性内視鏡によるものを目指す。自在に曲がるため、より体内の隅々まで手術ができるようになる」(産学連携部医療機器研究課)とみる。プロジェクト期間は18年度末まで。それから数年後の薬事承認申請を目指す。
(文=米今真一郎)
拡大3D画像と自由度の高い鉗子使用
ダビンチサージカルシステムを使い、拡大視した3次元(3D)画像を医師が見ながら自由度の高い鉗子(かんし)で腎の切除と縫合をする。2次元画像の従来の腹腔鏡手術に比べて奥行きの感覚が得やすく、鉗子の自由度も高いために、腎の過剰な切除や縫合時間が長くなるのを防げる。これにより腎機能を最大限に温存できる。
有用な術式として普及
日本泌尿器科学会の藤沢正人理事長(神戸大学医学部附属病院長)は「低侵襲、がんの根治性、腎機能温存を同時に実現しうる有用な術式として普及すると考えられる」とした。
先進医療は保険外併用療養費制度の評価療養の一つで、保険診療と保険外診療を同時に行える医療。患者は保険外部分は全額自己負担になる。これが保険適用されたことで、患者の自己負担分は通常の保険診療部分のみとなるため、自己負担が少なくなる。
医療機器の普及を産業政策として見た時の課題は、現在これに使用できるロボットがダビンチサージカルシステムしかない点。医師は本来、患者を低侵襲で効果よくかつ自分も扱いやすく治療できる機器や器具を求める。その意味では、製品が米企業でも日本企業でも関係はない。
日本発ロボットの開発を支援
これに対し、日本政府の健康医療分野の研究開発資金配分機関、AMEDは経済産業省の予算により「未来医療を実現する医療機器・システム研究開発事業」として、ダビンチサージカルシステムに匹敵するロボットの開発を支援している。同サージカルシステムと同じコンセプトで開発しても時間差は埋めにくい。
「ダビンチは硬性内視鏡を使うが、我々は軟性内視鏡によるものを目指す。自在に曲がるため、より体内の隅々まで手術ができるようになる」(産学連携部医療機器研究課)とみる。プロジェクト期間は18年度末まで。それから数年後の薬事承認申請を目指す。
(文=米今真一郎)
日刊工業新聞2016年4月7日 ヘルスケア面