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トヨタが生まれた「旧試作工場」、解体に“待った”!

決定から一転、夢や情熱染みついた貴重な財産を一般にも公開したい
トヨタが生まれた「旧試作工場」、解体に“待った”!

旧試作工場

 解体する?―トヨタ自動車が1935年(昭10)に、はじめて自動車をつくった旧試作工場の行く末がトヨタグループ内で注目されている。老朽化し耐震性の問題から一度は16年明けの解体が決められた。ところがそこからトヨタ首脳らが相次ぎ訪問。「何らかの形で残した方がいい」(トヨタ首脳)と解体に”待った“がかかり始めた。

 木造、トタン屋根のその建屋は、トヨタ自動車の創業者である豊田喜一郎氏が豊田自動織機製作所(現豊田自動織機)内に自動車部を設置した翌年の34年に完成した。35年には、そこで「A1型試作乗用車」を完成させた。A1型はトヨタ初の量産乗用車「AA型」の試作車。旧試作工場は、まさにトヨタ自動車が生まれた場所だ。

 現在、愛知製鋼刈谷工場(愛知県刈谷市)敷地内に、その一部が残っている。今、注目されているのは実はグループ内でも現存していることがあまり知られていなかったから。腐食が進む柱や壁には喜一郎氏らの夢や情熱が染みついている。トヨタ首脳は「一般の人にも公開する施設にできないか」などとしており、貴重な遺産はなんとか解体を免れそうだ。
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役ブランドコミュニケーション担当
章男社長はこういう「財産」は好きそうだからな。日立も日立工場内に「創業小屋」があるが、社員でなくても中に入ると身が引き締まる。

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