“ポイ活”が需要後押し…好調「マイカー広告」の効果
チアドライブ(東京都中央区、保科昌孝社長)の、個人が自家用車に広告ステッカーを貼って報酬を得るサービス「Cheer Drive」が好調だ。ガソリン代の高騰や、ポイントをためる“ポイ活”の拡大が同サービスの需要を後押ししている。2027年までに累計100万台(現状8万台)の利用を目指す。(小西麗那)
ドライバーはリアウインドーやサイドウインドーに広告を貼り、走行距離に応じて報酬を受け取る。チアドライブは21年3月にマイカー広告サービスの提供を開始し、これまでに約120の企業や自治体などが広告出稿主となった。保科社長は「日常的に車に乗る一般ドライバーが、車のリアウインドーに専用ステッカーを貼る。いつものように運転するだけで副収入が得られるモデル」と説明する。
同サービス考案のきっかけは、上京時に遭遇した車だ。「あるローカルテレビ番組のタイトルロゴステッカーをリアウインドーに貼っている車をたくさん見かけた。それが衝撃だった。相当好きかめちゃくちゃ応援したい、という思いがなかったら成立しない行動」(保科社長)と当時を振り返る。
同社の調査によると、車の広告ステッカーによる広告認知率はテレビを上回るという。また、消費者を経済的に支援する広告出稿形態はブランドイメージの向上にもつながるため、各方面から注目されている。6月にはカラオケ「JOYSOUND」とのキャンペーンを展開した。短編動画投稿アプリケーション「TikTok(ティックトック)」で“バズる”など反響が大きく、募集開始から数時間で定員の1000人に達した。過去のキャンペーン参加数と一定期間中の走行距離で決まるドライバーランクによって報酬体系は異なる。ブロンズの場合は1キロメートル当たり3円、プラチナの場合は同5円相当の走行ポイントを獲得可能。同キャンペーンでは最大5000ポイント(5000円相当)の報酬を得られた。
持続可能なビジネスモデルの実現には、環境問題への対応が欠かせない。報酬がガソリン代を上回らない設計にしており、経済合理性の観点からドライブという手段が目的化して二酸化炭素(CO2)を余計に排出してしまう事態を防ぐ。カーボンニュートラル(温室効果ガス排出量実質ゼロ)は社会全体の課題であり、「今後さらに電気自動車(EV)が普及してくれば、EVドライバーへのポイント増額の仕組みも考えていきたい」(保科社長)と新たな構想も練る。
現在はドライバーの数に対してキャンペーン数が追いつかず、即日定員に達するケースが少なくない。車の維持費負担を軽減したい需要は高く、広告出稿主のさらなる開拓が今後の課題となる。