東芝など、異なる量子鍵配送ネットワーク間接続実証…その効果は?
東芝とNEC、情報通信研究機構は共同で、異なる量子鍵配送ネットワーク(QKDN)間を接続する鍵リレーシステムを開発した。QKDNは暗号化データを読めるようにする暗号鍵を量子力学で守りながら伝送する技術。ウェブのインターフェース技術で相互接続を実現したため、ウェブエンジニアが異なるメーカーのQKDNを連結できるようになる。整備のハードルを下げ、普及を加速する。
分散型と集中型のQKDNをウェブAPI(応用プログラムインターフェース)の「REST・API」で接続した。REST・APIはシンプルで多くのウェブエンジニアが扱える。QKDNを整備する際に量子暗号の専門家だけでなく、ウェブエンジニアが業務を担えるようになる。
実験ではQKDNの鍵管理システム同士を連結させた。鍵管理システムから別のQKDNの鍵管理システムへ暗号鍵を送ったら、そのステータス情報をQKDNマネージャー同士で共有する。
受け取った側のQKDNマネージャーは各鍵管理システムから情報を集めて鍵をリレーしていく。目的の拠点に暗号鍵を届けたら、暗号鍵でデータを復号して利用する。データ自体は通常のネットワークで伝送する。
すでにQKDNとサーバーをつなぐ部分もREST・APIで接続している。普及済みの技術でシステムを構築することでQKDNの整備コストを低減する。情通機構が運用する「東京QKDネットワーク」で実証した。
日刊工業新聞 2024年07月15日