鉄筋ばらさず時短…橋梁型枠を簡易補修、栗本鉄工所が新工法
栗本鉄工所は中空床版橋と呼ぶ橋梁のコンクリート床版の軽量化に用いる円筒型枠の損傷を簡易に補修できる工法を開発した。損傷した型枠内にポリプロピレン(PP)製の円筒を入れて空気を注入。注入後72時間は内圧を保ち、コンクリートを打設して固まるまで中空構造を維持する。鉄板や発泡ウレタンを使う従来工法より施工時間が短く、補修工事の施工性を向上できる。2024年度に売上高2400万円、5-10年後に年2億4000万円を目指す。
円筒型枠はコンクリート床版内部に中空構造を作るために使う金属製の円筒。床版の損傷に伴って型枠も穴が空くなど損傷することがある。
新工法は損傷したコンクリートの床版を取り除き、鉄筋の隙間から穴が空いた円筒型枠内にPP製の円筒(エアチューブ)を挿入。コンプレッサーで内圧が30キロパスカル以上になるまで空気を注入し、型枠を補修する。
エアチューブは6月から大手ゼネコンなどに販売を始めた。口径は主に400ミリ-1300ミリメートルに対応し、長さ1500ミリメートルの消費税抜きの価格は6万円から。
従来の鉄板で補修する方法は、コンクリートの打設時に設置した鉄筋を一度ばらす必要があり、型枠補修後に鉄筋を再度つなぎ合わせる手間がかかる。発泡ウレタンを注入する方法もあるが、大型の設備や専門の職人が必要でコストが高く、準備に時間がかかるのが課題になる。
エアチューブによる新工法は鉄筋をばらす必要がなく、コンプレッサー設備があれば施工できる。夜間工事に対応でき、早期復旧のニーズが高い床版補修工事の期間短縮につながる。
円筒型枠の工法を採用した中空床版橋は、1960年代以降に建設されており、現在もNEXCO3社の管轄内で約5500橋が存在する。老朽化した床版の補修工事の需要が増えており、損傷した円筒型枠の補修に手間がかかるのが、工事の進行を遅らせる原因の一つになっている。