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「発明で広がる未来」―中小・中堅企業の発明応募、受付中

新型コロナウイルスによるコロナ禍もようやく収束し、朝夕の通勤ラッシュがあり、街中にも人々が行きかうようになりました。外国人観光客も多く見かけるようになり、コロナ禍前の日常が戻ってきました。

ところが、2024年元旦の夕刻に能登半島地震が発生しました。確実に復旧が進み、一日も早く、日常が取り戻せるよう願ってやみません。まさか元旦にと思いはしたものの、自然災害は、いつ、どこで起きるのか分からないという、あたり前のことを痛感させられました。同時に地震により、海だった場所が、隆起により陸地に変わってしまうなど、自然の驚異的な力を見せつけられました。

昨年は生成人工知能(AI)が話題となりました。利用に関して問題点が指摘されましたが、対話型での使いやすさ、手軽さもあり、企業での導入、活用、個人での利用などで一気に普及しました。発明のアイデアを練る段階で、すでに生成AIを活用している人もいるのかもしれません。

発明にも様々ありますが、過去の延長線上にはない革新的な発明もあれば、現場に関わる課題を改善、解決する発明もあります。当たり前のように流れている工程においても、視点を変えれば、改善になり、結果的に発明につながっていきます。企業であれば、発明は強みになるといえるでしょう。製造現場やロケットや衛星の開発に限らず必ず過去の積み重ねがあります。「発明大賞」の受賞企業においても、もともと自社が持つ技術を生かし新たな発明につながったという話もあります。

 「発明大賞」は創設から50回を迎えます。中堅・中小企業、研究者や個人の発明家を対象に、優秀な発明考案を生み出し、成果をあげた企業や個人をこれまで表彰してきました。

特色としては、発明大賞の歴代受賞者をはじめとする幅広い企業や個人のネットワークが、発明を生み出す環境を育んできたことです。一つの発明が、世の中を変え、我々は、発明により実現したことによって便利さを享受し、日々暮らしています。先人が築いた業績、数多くの発明がつながることにより生まれる製品やサービスにより、我々がその恩恵を受けていることは間違いありません。発明が新たな可能性を広げていきます。

ぜひ、発明を通じて、その未来を切り開く人々の輪に加わっていただければと願っています。

皆様の応募を心よりお待ちしております。

第49回発明大賞 授賞式
応募などの問い合わせは(公財)日本発明振興協会(03・3464・6991)へ
発明大賞公式ページ

前回(第49回)の主な受賞企業と製品・技術のポイントは下記。

【発明大賞 本賞】
 省エネを実現するエアーノズル=トリーエンジニアリング(社長・古堤裕行氏)
 株式会社トリーエンジニアリング(https://www.e-torry.com/

薄板状のエアーを吹き付け、容器表面に付着した水滴や異物を取り除ける。内部構造と吐出部の形状を独自設計し、風速を高めることで、水滴除去効率を60%程度からほぼ100%に引き上げた。エアーの消費量を大幅に減らし、ランニングコストを減らせる。さらに内部構造を工夫し圧縮したエアーを吐出することで乱流の発生を防ぎ低騒音化できた。またシステム全体を変更することなく、既存のノズルから取り換えるだけで効果が得られる。

ノズル導入で従来比80%以上のエネルギーコスト削減効果がある。国内消費電力量の4%と言われるエアブローによる電力消費量を1%以上削減できると見込む。(トリーエンジニアリング=兵庫県西宮市)

【発明大賞 東京都知事賞】
 バックスピン機構付き給紙装置及び給紙方法=塚崎昌弘氏(個人)

送りロールがない給紙装置と組み合わせ1ミリメートル以下の段ボールのシートを加工できる。円柱状のコロを逆回転した後、正回転に戻し給紙するユニットを使い、段ボールの製函機用の薄紙を1枚ずつ分離し給紙する。シートが整った状態で給紙できるため精度が向上する。さらに正回転に戻すことで紙の自重を受けず通紙が可能で、シート詰まりを防止できる。

シートの厚みに影響されず正確に1枚ずつ分離し給紙できるため、薄紙加工の際に苦労する前ゲートの隙間調整が不要で、次工程の準備を簡略化できる。(大阪市西成区)

【発明大賞 日本発明振興協会会長賞】
 スチームトラップ内部のスケール除去機構=ミヤワキ(社長・宮脇健輔氏)
 株式会社ミヤワキ(https://www.miyawaki-inc.com/

工場内にある蒸気配管・機器にたまった復水を自動排出する「蒸気トラップ」で、作業時間を従来の10分の1の2―3分に縮められる。ハンドルを指で回すだけで製品内部の弁口周辺のスケール(堆積物)を除去でき、ユーザーの作業負担を減らせる。

清掃棒と本体ケースの間にシール性の高いパッキンを設置する際、さらに耐熱性の高いパッキンで挟むことで、シール性の高いパッキンを熱劣化から守る設計を考案。回転しながらスケールを削り取る清掃棒の動きを確保し、本体ケースの間からの流体漏れを防げる。(ミヤワキ=大阪市淀川区)

【発明大賞 日刊工業新聞社賞】
 シート巻取装置=甲南設計工業(社長・澤田昌浩氏)
 甲南設計工業株式会社(https://konansk.com/

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樹脂シートの巻き取り機の巻き替え作業を全自動で行える。巻き付け用の両面テープが不要。上巻と下巻の切り替え式で、ユーザーの巻き替え作業が不要になる。従来の手作業を全自動化することで、まき直しの手間や異物混入によるクレームをなくせる。さらに従来行っていたシート切断時の切傷事故や巻き付け時の巻き込まれ事故を防げる。

巻き芯は3―8インチで部品交換なしで対応。2・5ミリメートル程度の厚物シートの自動巻き付けもできる。操作の熟練度は不要。両面テープを使わないため、ロス品を再生できる。(甲南設計工業=兵庫県三木市)

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