トヨタ自動車は４日、名古屋市内で記者懇談会を開き、１日付（担当は１８日付）で就任した新任常務役員５人が抱負を語った。自動車業界を取り巻く環境が激しく変化する中、「改革」「変革」といった言葉を多用し危機意識を強調した。

　澤良宏レクサスインターナショナルエグゼクティブヴァイスプレジデント（ＥＶＰ）は高級車「レクサス」について「欧米メーカーに比べるとブランド力はまだまだ」と指摘。「つくり手の思い、ストーリーを販売までつなげる」とブランド力を強化する考えを示した。

　下義生氏は日野自動車専務役員から転身。未来創生センターやコーポレート戦略部などを統括する。「持続的成長に向けた本当の意味の中長期戦略立案が課せられた使命」と語った。岸宏尚パワートレーンカンパニーＥＶＰは環境規制の強化などにより「パワートレーンはかつてない大変革の時代」とし、「生き残りをかけたチャレンジをしていく」と意気込みを語った。

　村上秀一国内販売事業本部副本部長は国内自動車市場が減少傾向にある中、「２０２５―３０年をターゲットに置き事業のリボーンに取り組む」と述べた。七原弘晃東アジア・オセアニア本部長は「新興国の激しい環境変化にいかにタイムリーに対応するかが大きな課題」と強調した。

新役員紹介

「レクサス」の澤氏

常務役員グローバルデザイン企画部統括兼デザイン開発部統括兼トヨタクリエイティブスタジオエグゼクティブチーフクリエイティブデザイナー兼先進技術開発カンパニー先行デザイン担当兼レクサスインターナショナルエグゼクティブヴァイスプレジデント　澤良宏氏

【横顔】デザインに２０年以上携わり、コンパクトカーのチーフエンジニアも務めた。新たに高級車ブランド「レクサス」のブランド力の強化に尽力する。趣味では薪づくりからの本格的なストーブを楽しむ。
【略歴】さわ・よしひろ＝８０年（昭５５）京都工芸繊維大工芸卒、同年トヨタ自動車工業（現トヨタ自動車）入社。０９年商品統括部Ｚ―ＡＤ室長、１１年グローバルデザイン統括部長、１３年常務理事。滋賀県出身。５７年４月１８日生まれ、５８歳。

日野自からトヨタ役員になる下氏

常務役員戦略副社長会事務局統括兼未来創生センター統括兼コーポレート戦略部統括　下義生氏

【横顔】日野自動車の生え抜き役員から初めて親会社のトヨタ自動車役員に就任した。日野自動車では開発、商品企画、海外営業を経験。トヨタグループの連携強化にも期待がかかる。最近は歌舞伎にはまっている。
【略歴】しも・よしお＝８１年（昭５６）早大理工卒、同年日野自動車工業（現日野自動車）入社。０５年中央大院総合政策研究科修士修了。１１年日野自動車執行役員。１２年常務役員、１５年専務役員。東京都出身。５９年１月２８日生まれ、５７歳。

「動力」の岸氏

常務役員パワートレーンカンパニーエグゼクティブヴァイスプレジデント　岸宏尚氏

【横顔】入社以来、エンジンの開発を担当してきたスペシャリスト。「自動車の動力源はかつてない大変革に直面している」と認識し、ユニット関連のシステムづくりにまい進する。趣味はマウンテンバイクでの疾走。
【略歴】きし・ひろひさ＝８４年（昭５９）名古屋工業大院工学研究科修士修了、同年トヨタ自動車入社。０８年エンジン制御システム開発部長、１３年エンジン設計部長、１５年常務理事。石川県出身。５９年１０月６日生まれ、５６歳。

国内販売の村上氏

常務役員国内販売事業本部副本部長兼ＢＲ　Ｊ―ＲｅＢＯＲＮ室長兼国内企画部長　村上秀一氏

【横顔】国内営業畑を歩み、販売店改革などを主導。労働力人口減少など難しい環境にある中、「２５―３０年先を見据え国内販売のリボーン（復活）に取り組む」。趣味はプロ野球観戦。
【略歴】むらかみ・しゅういち＝８８年（昭６３）九大経卒、同年トヨタ自動車入社。１３年トヨタマーケティングジャパン出向。１５年トヨタ自動車国内業務部長、１６年ＢＲ　Ｊ―ＲｅＢＯＲＮ室長兼国内企画部長。福岡県出身。６５年１月３０日生まれ、５１歳。

「新興国」の七原氏

常務役員第２トヨタ企画部統括兼第２トヨタ企画部長兼ＫＤ事業企画部統括兼東アジア・オセアニア本部長　七原弘晃氏

【横顔】調達部門が長く１１年の東日本大震災時は対策本部のリーダーを務めた。「トヨタの強みは一人ひとりのお客のケア」をモットーに変化の激しい新興国戦略に挑む。海外出張中の機内での映画鑑賞が楽しみの一つ。
【略歴】ななはら・ひろあき＝８７年（昭６２）法政大法卒、同年トヨタ自動車入社。１２年ＢＲ現地生産・現地調達推進室主査、１３年第２トヨタ企画部主査、１５年第２トヨタ企画部長。愛知県出身。６３年１０月２日生まれ、５２歳。
（４月１日付、担当は１８日付）