「開発製造受託」「再生・細胞医薬」柱に…住友化学の医薬品事業、成長軌道なるか
住友化学は開発製造受託(CDMO)と再生・細胞医薬を柱として、医薬品事業を成長軌道に乗せる。大分工場(大分市)で子会社の住友ファーマの設備を譲受するなど、CDMO体制を強化。再生・細胞医薬のCDMOを手がける住友ファーマとの共同出資会社では、出資比率を住友化学の主導に変える考えを示す。新たな成長領域として位置付ける分野で、住友ファーマの一層の構造改革やガバナンス力の向上を通じ事業基盤を整備する。
住友化学は低分子医薬品の原薬・中間体のCDMO事業で国内最大手。今後も低分子医薬品市場は拡大すると見込んでおり、もう一段の事業体制強化を推進する。
4月には、大分工場で工場内にあった住友ファーマの医薬中間体を作る設備などを譲受し、CDMOに関する事業体制を盤石にした。同工場では低分子医薬品の原薬や中間体の製造設備の新設も予定しており、9月の稼働を計画している。
住友化学と住友ファーマが共同出資する「S―RACMO(エスラクモ)」(大阪府吹田市)の体制も見直す。現在の出資比率は住友ファーマが51%、住友化学が49%。出資比率を含め「住友化学の主導に変える」(住友化学の岩田圭一社長)方針で、詳細は今後詰める。
再生・細胞医薬では、人工多能性幹細胞(iPS細胞)由来製品を手がけることを想定した新会社を住友ファーマと2025年3月期中に設ける計画も進む。新会社でも住友化学が出資比率の過半を取る形となりそうだ。
住友ファーマは25年3月期の連結業績予想で、合理化策などによってコア営業黒字への転換を見込む。26年3月期には当期黒字化を目指している。住友化学から役員を派遣。「実力に見合った事業構造にするために、ガバナンスをどう効かせるるかが重要」(岩田社長)と捉える。
住友ファーマが合理化を進めてきた北米では、4月から想定通りのコスト削減効果は出ているという。今後、日本側を含めた合理化についても検討し、一連の成長戦略と合わせて進めていく構えだ。