構造体を再利用…大林組、新築建物にコンクリ製部材活用
大林組は27日、一つの建物から鉄骨やコンクリートなどの全部材を取り出し、新築建物の構造体として再利用する取り組みを始めたと発表した。同社の技術研究所(東京都清瀬市)内で実験棟の新築工事に適用し、研究員が再利用した構造体の加工状況などを検証する。カーボンニュートラル(温室効果ガス〈GHG〉排出量実質ゼロ)やサーキュラーエコノミー(循環経済)に寄与する技術の開発や提案につなげる。
木造建築以外で建物の構造体を再利用する取り組みは、国内では珍しい。コンクリート製などの構造部材の再利用に関しては、用途を変更するコンバージョンや改修工事などで実績があった。ただ、柱・梁(はり)の位置や形状を大きく変えないことが前提で、設計上の制約があるのが課題だった。
研究所内の鉄骨(S)造の電磁環境実験棟を解体して構造部材を取り出し、2026年に完成予定の実験棟で再利用する。柱や梁など全種別の鉄骨部材に関しては、新築建物に合わせて切断などの加工を行い、新規の部材と組み合わせて使う。コンクリート製構造部材も同様に、リユース材として活用する。
リユース材の活用は、再生材を使う場合に比べて製造時の二酸化炭素(CO2)の排出抑制につながる。今回の新築建物で使う構造部材のうち、リユース材は鉄骨が57%、コンクリートは33%で、すべての資材を新たに調達するケースに比べて約49%のCO2削減効果を見込んでいる。
日刊工業新聞 2024年06月28日