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秒速3.3m…広島大・東工大が開発、哺乳類型関節4脚車輪で〝世界最速〟ロボの性能

広島大学の貞井圭介大学院生と高木健教授、東京工業大学の遠藤玄教授は、4脚車輪型ロボット「ローラーウォーカー」を開発した。最高速度は秒速3・3メートル(時速12キロメートル)を達成した。広島大の調べでは哺乳類関節の機体で世界最速と見られるという。不整地は歩行、平地は車輪走行とエネルギー効率の高い移動ロボとして提案していく。

3次元(3D)プリンター製の部品を中心に哺乳類型関節の4脚ロボットを開発した。哺乳類型は関節がロールとピッチ方向の回転軸で構成され、上下軸回りに回転するヨー方向の関節がない。ロールとヨー方向の回転軸で構成される爬虫(はちゅう)類型関節なら足先にローラーを付けると走行できるが、哺乳類型は難しかった。

そこで足先にヨー方向に回転する受動輪を搭載した。回転軸を斜めに配置することで足を閉じたり開いたりするだけで推進力が得られる。体育館での実験では秒速3・3メートルまで加速できた。広島大の調べでは世界最速になるという。

機体は11・3キログラムに軽量化した。駆動部に減速機を組み入れて出力を高めている。並進方向は足の開閉の振幅や周期で操縦し、回転方向は姿勢センサーの値から自動制御する。現在は止まれないが、転倒しても起き上がれる。

4脚車輪型ロボはアニメ作品「攻殻機動隊」で描かれるキャラクター「タチコマ」などがある。階段やがれきの上は4脚で障害物を避けながら歩き、屋内や舗装路などではタイヤで高速移動し、走破性とエネルギー効率の両立が期待されている。

日刊工業新聞 2024年06月20日

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